「氷河期世代」の救済が2040年の社会保障のカギを握る

厚労省が改革提言、求人開拓や助成金など本腰

 厚生労働省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」(本部長=根本匠厚労相)は、「団塊ジュニア」世代が高齢者(65歳以上)となる40年に向けた社会保障・働き方のあり方を取りまとめた。70歳までの就労機会の確保や、現在40歳前後の年齢層が該当する「就職氷河期世代」の活用を求めたほか、「人生100年時代」に向けた年金制度改革の必要性を示した。

 政府はこれまで「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)となる25年を念頭に社会保障と税の一体改革を進めてきた。今年10月に予定されている消費増税で「一定の区切りがついた」(政府関係者)ことから厚労省は18年10月、高齢化がピークを迎える40年代を見据え、新たな社会保障ビジョンを検討する社会保障・働き方改革本部を立ち上げた。

 職業安定局や年金局、老健局など全局長が参加する同本部は、改革に向けたとりまとめで「40年代を展望すると高齢者の人口の伸びは落ち着くが、現役世代が急減する」とし、新たに就職氷河期世代(現在35―44歳)の就労支援を盛り込んだ。

          

 就職氷河期世代の多くはフリーターや非正規労働者など不安定な生活環境にある。政府は「人手不足の中での絶好の機会」として今夏までに就職氷河期世代の活躍促進に向けた3年間の集中プログラムを取りまとめるが、厚労省の改革本部は都道府県労働局や自治体、民間事業者などと連携して都道府県レベルのプラットフォームを構築する。

 また就職氷河期世代に特化した求人の開拓や助成金の活用を提言。次期年金制度改革に向け、短時間労働者への社会保険の適用拡大、確定拠出年金(DC)の加入年齢の引き下げと中小企業への普及拡大を盛り込んだ。

 総務省の推計では、40年には日本の人口は1億人程度に落ち込み、団塊ジュニア世代(71―74年生まれ)が高齢者となることから高齢化率は36・8%に達する。

 政府は、年金・医療・介護など、社会保障費の対国内総生産(GDP)比が、18年度の21・5%から40年度には最大で24%程度に増加すると試算している。

 厚労省では「健康寿命延伸や生産性向上など人の問題を解決しないとサービスや給付は成り立たない」としており、高齢者・就職氷河期世代のほかロボットや情報通信技術(ICT)の活用に向け経済産業省などと連携。これらの方針を政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」や予算などに反映させたい考えだ。

日刊工業新聞2019年5月30日(政治・経済)

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