国内生保大手、外貨建て保険の販売強化が相次ぐワケ

超低金利環境が影響

 国内の生命保険大手に外貨建て保険の販売を強化する企業が相次いでいる。超低金利環境の中、顧客の資産形成ニーズに応える円建て貯蓄性保険商品の提供が難しいためだ。2019年3月期決算は外貨建て保険が業績のけん引役となり、6社が本業のもうけを示す基礎利益で増益となった。これを追い風に、外貨建て保険による収益を伸ばし、さらなる業績向上を狙っている。(文=増重直樹)

 「グループとしてラインアップの拡充に取り組む」―。日本生命保険の朝日智司取締役常務執行役員はこう語り、今後外貨建て保険の販売を強化する姿勢を示した。同社は18年度の外貨建て保険販売額がグループ全体で約1兆800億円。17年度に比べて2倍以上に伸び、超低金利環境が続く中、今後のさらなる拡大を見込む。

 第一生命ホールディングスも、外貨建て保険を販売する傘下の第一フロンティア生命が収益を伸ばしており、ほぼ同様な見方。「18年度が好調だったため、19年度は一定程度の反動減を見込む」(畑中秀夫取締役常務執行役員)とするものの、外貨建て保険が業績アップのカギを握る金融商品の一つである認識に変わりがない。販売を強化する構えだ。

 外貨建て保険の収益が前3月期の業績を押し上げた明治安田生命保険は「窓販での苦情は特だしのモニタリング項目」(中村篤志常務執行役)とし、販売後の顧客ケアも重視する。背景には、外貨建て保険が海外の高い金利を享受して顧客の資産形成や相続ニーズに対応するため為替リスクが伴うが、それを理解していない顧客らからの苦情が増えている状況がある。

 日銀が低金利政策を続けていく姿勢をあらためて示す中、外貨建て保険の販売をめぐり生保各社の競争は一段と激しさを増しそうだ。

日刊工業新聞2019年5月28日

  

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