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日本の技術者「海外で活躍」を後押しする認定制度に注目

JABEEの教育プログラム認定に評価
日本の技術者「海外で活躍」を後押しする認定制度に注目

日本人が現地技術者と働く(オリエンタルコンサルタンツグローバル提供)

 日本技術者教育認定機構(JABEE=ジャビー、東京都港区、富田達夫会長)の教育プログラム認定が、技術者の活動の国際化で新たな評価を得ている。大学の学科などの技術者教育が国際水準に達しているかを審査・認定するもので、オリエンタルコンサルタンツグローバル(東京都新宿区)のモザンビークのプロジェクトでは、国際認定の教育を受けた技術者がいないと業務停止の恐れがあったが、JABEEが証明して事業を継続できた。日本の技術者が海外で仕事をする機会が増える中、認定への関心が高まりそうだ。(文=編集委員・山本佳世子)

 JABEEは大学の技術者教育の質保証で、年350件ほどの教育プログラムを認定する。国際的なワシントン協定に加盟し、加盟国・団体の間で資格を相互承認している。一方、オリエンタルコンサルタンツグローバルは社員約450人の建設・開発のコンサルティング会社だ。これまで両者のつながりはなかった。

 同社はアフリカ・モザンビークの発電所建設に5年ほど前から関わり、現地の電力公社に替わり業務管理に着手。ここで政府の公共事業者から技術者の要件が出された。一つは現地での10年の勤務経験で、同社は2人の現地雇用で対応した。

 もう一つはワシントン協定加盟団体が認定したプログラムを修了した人材だ。同社の日本人社員から、土木系でJABEE認定を得た宮崎大学、鹿児島大学、立命館大学の出身者が見つかった。

 いずれもベテランで、各大学がJABEE認定を得る以前の卒業だった。そのためJABEEは、同じ学科・教員で同等の教育を受けたことを文書で説明。ポルトガル語に翻訳し、現地の公証役場の証明を受けて、同社業務が可能になった。

 公共事業は技術者資格を求められることが多いが、業務管理の同社は初めてだという。しかしアフリカや南米で今後、同様のケースが増えるかもしれないと見ている。
日刊工業新聞2019年5月30日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
研究型大学はJABEEを重視していない点が、以前から気になっていた。が、それは「研究者の養成」を目的としているためだ。一方で、記事で紹介した宮崎大、鹿児島大など、研究型大学以外の理工系は「技術者の育成」を大切にしているはずだ。産業界では中小企業を含め、途上国をはじめ国際的な場で活躍する技術者に対するニーズが高まっている。ここに、JABEEがはまる。「研究型大学なんて、ほおっておけばいいのだな」と納得した。

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