楽天は「CO2ゼロうちわ」販売…Jクレジット利用、過去最高の裏側

2018年度の利用量が前年度比1・7倍の17万トンに

 商品やサービスの二酸化炭素(CO2)排出量をゼロ化する「カーボンオフセット」の利用が増えている。政府が運用する「J―クレジット」制度では2018年度に利用量が前年度比1・7倍の17万トンに増えて過去最高だった。森林保全や再生可能エネルギー導入などのCO2削減活動の支援につながることから、持続可能な開発目標(SDGs)を推進する大手企業を中心にカーボンオフセットの利用を増やしている。

 楽天は16日、プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの主催試合が開催された東京ドームで、観客に“CO2ゼロうちわ”を販売した。うちわ1枚を購入すると、日本人1人分の1日のCO2排出量6キログラム(日本人平均)を帳消しにできる。カーボンオフセットを利用した。

 カーボンオフセットは他の場所で削減したCO2量をクレジットとして調達し、排出したCO2を打ち消す仕組み。企業がクレジットを購入した資金がCO2削減活動に回る。

 楽天は岩手県の森林整備で創出されたクレジットを購入し、森林整備に貢献した。楽天の眞々部貴之マネージャーは「ファンの方が興味を持って話しかけてくれるので、一人にひとりカーボンオフセットの仕組みを説明できた」と手応えを語る。

 政府のJ―クレジット制度でも18年度のカーボンオフセットへの利用は前年度比1・7倍も増加した。

 海外からクレジットを調達する企業も増えている。イトーキは“CO2ゼロ”のオフィスチェアを販売。インドネシアの泥炭湿地保全プロジェクトで創出したクレジットを入手し、CO2を打ち消す。チェアの購入企業は同国のプロジェクトに貢献し、現地住民の生活も支援できる。

 凸版印刷はSDGsへの貢献が国際的に認められた「ゴールド・スタンダードクレジット」を調達。同社に印刷物を依頼して同クレジットを活用した企業は、印刷物のCO2ゼロ化と、SDGsへの貢献を訴求できる。

 カーボンオフセットはSDGsへの取り組みを発信できるだけに、利用企業の大幅な増加が期待される。

日刊工業新聞2019年5月24日

松木 喬

松木 喬
05月24日
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カーボンオフセットは買った人が離れた場所の森林保全、生活支援、SDGsに貢献できる仕組みです。楽天といえばインターネット販売。なのに実社会(東京ドーム)で直接、お客さんにうちわを販売していました。記事では触れませんでしたが木製バッジも売っていました。もちろんオフセットして。

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