#4 士業がデジタル広告で仕事を見つけるには【リスティング/アドネットワーク編】

プロが教える 個人経営や中小企業のための 月5000円でできるデジタル広告【全5回】

 今回は士業を採り上げてみます。弁護士とか行政書士とかが、独立して事務所を立ち上げた、という設定にしましょうか。

 #2のケーキ屋さんの場合と何が違うのか? お客さんの視点で考えてみます。近所のケーキ屋さんは、日常で利用するものですよね。毎日じゃなくとも月に数回とか。であれば、お客さんは常にそのケーキ屋さんの情報が欲しい状態と言えます。ファンならフォローしておくことで投稿をいつも読むぐらいまでしてくれるでしょう。

 しかし、士業は日常で利用するものではありません。「何かビジネスでトラブった」「手続きごとが発生した」などという、思いがけず必要性が発生し利用するものです。もちろん、お仕事の日常業務で日頃から士業の方とやり取りしている方も多いでしょう。でもそういう方はもう付き合い先が決まっています。新しい事務所を立ち上げたあなたがアプローチすべき相手は、決まった付き合い先がいない、自分の課題を解決してくれる先生を初めて探している人たちということになります。

検索キーワードに紐付けて表示するリスティング広告


 そうなると、ケーキ屋さんのようにSNSで日常的に発信してもかなり無駄が多いですよね。「あ、この弁護士事務所、感じ良さそうだからこんど行ってみようかな」とはなりませんから。また、その広告を見た人が「ちょうど今もらい事故を受けて弁護士事務所を探そうと思ってたんだ!」といった偶然はそうそう起きるものではありません。

 フツーに考えればまず思いつくやり方は「リスティング広告」です。名前ぐらいは聞いたことあるかもしれません。たとえば、武蔵小山のとある会社が、何か役所に書類を提出しなければいけなくなった。特に付き合いのある行政書士もいない。その場合、まずやることは、WEB検索ですよね。まあ書類作ってもらうぐらいだから近所の事務所でいいんじゃない?ってことで、「行政書士 武蔵小山」で検索をかける。すると武蔵小山の行政書士事務所の一覧がダーッと出てきて、その中から良さげなところを選ぶ。

 もしあなたが行政書士事務所を武蔵小山で開業するのなら、そういう検索行動を待ち構えておく必要があります。つまり「行政書士 武蔵小山」という検索キーワードをGoogle、あるいはYahoo!から買うわけですね。そうすることであなたの事務所情報が「リスティング」されます。

 これ、個人でもできます。たとえばGoogleなら「Google広告」で新規アカウントを作成してください。そこで「キャンペーン」と「広告グループ」というものを作ります。エリアと期間、キーワードを決めます。キーワードは「完全一致」「部分一致」などがありますが、「完全一致」が無駄がなくていいでしょう。そして、そのキーワードに紐づいた広告文を書きます。

「広告グループ」を使いこなす


 初心者の方は、キーワードと広告文のセットで1広告グループにするのが良いでしょう。たとえば、「行政書士 武蔵小山」のキーワードにヒットして出てくる広告文が「武蔵小山で行政書士をお捜しなら~」だとします。もしあなたが「自分は会計業務に自信あるぞ。会計業務のできる行政書士を探してる人が見つけてくれるといいな」と思い「行政書士 武蔵小山 会計業務」というキーワードも追加しようとしたとします。そしたらこのキーワード検索で表示される広告文は「武蔵小山で会計業務に強い行政書士をお捜しなら~」といったものにちょっと変えるべきですよね。この場合、別の広告グループを作った方が煩雑にならないでいいと思います。あまり広告グループを分けると最適化しづらいと言われますが、2つ3つ程度ではさほど影響ないでしょうから。

 また、「キーワードプランナー」を使えば、いろんな予測値が出ます。検索するであろう人たちの数、全体費用、1クリックあたりの単価、そして申込みに繋がる1コンバージョンあたりの単価。キーワードによってアプローチできる人の数は上下しますので、そのあたりの具合を見ながらどういうキーワード設定が適切か考えてうまく調節してください。同様のことはYahoo!でもできます。「Yahoo!プロモーション広告」から操作できますが、1コンバージョンあたりの単価が出ないなど多少の違いはあります。

広告バナーを出してみる


 「リスティング」は基本として、もう一つ面白いやり方を紹介しましょう。「サーチターゲティング」です。

 たとえばあなたがブログなどのサイトを見ていると、そこに広告バナーが出てきますよね。それはあなたのWEB上の行動に基づいて、「この商品に興味あるんじゃないかな」と推測して露出されているわけです。興味関心や、属性(年齢や性別など)のターゲティングに基づいて広告を配信する仕組みをアドネットワークと呼びます。アドネットワークには非常に多くの種類がありますが、その中の代表的なものの一つ、YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)が個人レベルで使えます。「Yahoo!プロモーション広告」に「YDN」のタグがありますのでそこから操作できます。

5000円で見込めるクリック数


 ここで何をするかというと、たとえば「行政書士」なら、これまで「行政書士」にどんなワードをくっつけてYahoo!検索がなされたかの中で、Yahoo!が選んだものの一覧が出てきます。もしその中に「行政書士 武蔵小山」があったとしたら、その人たちに「武蔵小山で行政書士をお探しなら~」といったバナー広告を露出することができます。検索したといっても、1年前に検索した人はとっくに行政書士を見つけて解決しているでしょう。なので、1日前に検索した人だけに露出するのか、3日前までなのか、1週間前までなのか、などの期間を選択できます。また、性別や年齢、エリアなども絞り込めます。各キーワードで検索した人の数も出ますので、参考にしながらどの人たちに露出するのか決めてください。いくらボリュームが多いからと言って「行政書士 カバチタレ!」とかを選ぶのはダメですよ。これは行政書士を主人公にした漫画に興味ある人たちなので。

 ここではYahoo!が用意した組合せを「選ぶ」ことになります。もし「行政書士 武蔵小山」の組合せが用意されていなければ、残念ながらそのキーワードを設定することはできません。ご自分の求めるターゲットに近いものを選んでください。ちなみにこのキーワードはどんどん増えていきますので、定期的にチェックされると自分の求めていたものが見つかることもあるかもしれません。

 キーワードで検索したユーザーの数は表示されますが、それ以外は自前で予測するしかありません。CTR(露出した広告の中でどれだけクリックされるかの率)は自分の経験上、0.03~0.05%というところでしょうか。予算が5千円とすると、だいたい5千人ぐらいの人に5回ぐらいずつ露出させることができ(この回数をフリークエンシーと呼びます)、10回程度のクリック数が見込めると思います。1クリックあたりの費用は業種によって幅がありまして、安くて数十円、高くて数百円(金融系など)程度なので、まあコスト的には悪くないように感じますがいかがでしょうか。

いろいろなタイプの顧客を想定しましょう


 リスティングにせよサーチターゲティングにせよ、ケーキ屋さんのケースでお話ししましたように、やはり多面性を意識するのが良いと思います。行政書士のお客さんで言えば、「近所でいいかな」と思う人ばかりではないはずです。「やさしく教えてくれる人がいいな」とか「予防法務に長けた人がほしいんだよね」とか。固定した広告表現をずっと出しっぱなしにするのではなく、「こういうものを求めている人には自分をそう見せよう」と、動的に広告表現やテキストを変えていくと新しいお客さんが増えていくはずです。

 ケーキ屋さん、士業と、BtoCのお仕事をされている方々が新規顧客にアプローチするやり方を紹介してきましたが、プロでもかなり頭を痛めるのがBtoBの顧客獲得です。次回は、金型を作っている町工場が元請けを探してアプローチするという想定でどんなデジタル広告ができるのか考えてみましょう。

連載一覧
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#3 昨対150%を達成する、小霜流デジタル広告のやり方
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#4 士業がデジタル広告で仕事を見つけるには【リスティング/アドネットワーク編】
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#5 町工場がデジタル広告で元請けを探すなら【Facebook広告応用編】
5月24日(金)、朝6時公開


プロフィール
こしも・かずや クリエイティブディレクター、コピーライター。86年、東京大学法学部卒業、同年コピーライターとして博報堂入社。98年退社。現在、ノープロブレム合同会社、株式会社小霜オフィス代表。「プレイステーション」や「一番搾り」、「ドラゴンクエストX」、「VAIO」など多くの広告に携わる。マス・Web広告統合の先駆を務める。広告賞受賞多数。著書に「急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。」「ここらで広告コピーの本当の話をします。」などがある。

担当編集・平川透、グラフィック制作・影山明日香

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平川 透

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05月23日
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