ファナックが“ナノの世界”を作り出す工場新設へ

精密な金型の加工に向く工作機械の専用工場

 ファナックは本社(山梨県忍野村)構内にナノメートル(ナノは10億分の1)領域の精密な加工ができる工作機械の工場を新設する。生産能力を現状比2・5倍の年60台に増やす。高機能化でレンズ枚数が増えるスマートフォン(スマホ)向けをはじめ、車載、監視カメラのレンズなど光学用金型の需要増に対応する。建屋の建設に35億円を投じ、室温や振動を厳格に管理できる環境を整える。10月に稼働を始め、2024年までに年産能力を120台に引き上げる。

 建設するのは、精密な金型の加工に向く工作機械「ロボナノ」の専用工場で、延べ床面積は4650平方メートル。工作機械の信頼性に影響する製造時の温度変化や振動を抑える建屋にする。組み立て用に、プラスマイナス0・5度Cの範囲に温度変化を抑える恒温室を設ける。

 一般的な工作機械では難しいナノ精度の機種は、レンズ金型向けを中心に市場拡大が見込まれる。スマホのカメラは高機能化でレンズ枚数が増えており、車の自動運転や安全性を高めるための車載カメラの搭載も進む。監視カメラ向けも拡大基調だ。第5世代通信(5G)の実用化でこうした流れが加速することが想定される。

 一方、同様の機種は米アメテック、米ムーア、東芝機械の3社ほどが提供するにとどまる。ファナックは18年に、同分野に本格参入した。収益に貢献する事業に育てるとともに、難易度の高い同製品を通じて得た知見を、主力の数値制御(NC)装置やモーターの開発・販売に生かす。

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日刊工業新聞2019年5月13日

  

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