福岡空港と北九州空港は競合?それとも補完関係?

 福岡国際空港は、運営する福岡空港に30年間で機能維持に約1020億円、空港活性化に約2280億円を投じる。このうち2023年度までに約1150億円を投資し、将来の旅客と路線の増加に対応した施設を整える。路線誘致では、空港や施設の利用料を明確化し、割引制度を導入する。

 5年間の中期経営計画では、23年度に旅客数を19年度目標比200万人増の2710万人と見込む。東・東南アジアの未就航路線と欧米・豪州の長距離路線を誘致し、52路線とする。国際・国内施設間の移動時間短縮をはじめ、利便性とサービスを向上する。免税店拡充などで収益性を高める。

 貨物では、施設容量の超過分を北九州空港に誘導するほか、積み替え支援などで同空港と連携した運用を目指す。福岡国際空港では30年後の将来イメージとして旅客数3500万人、100路線を掲げている。

完全民営化へ


 福岡空港の民営化で特別目的会社「福岡国際空港」による運営が開始された。2018年にターミナルビル運営を始めており、今回さらに国が管理してきた滑走路との一体運営が始まり完全民営化が図られた。

 福岡国際空港では、運営委託期間の30年間で、旅客数を1・5倍の3500万人、路線数を2倍以上の100路線を目指すほか、集客力のある複合商業施設やホテル、バスターミナルなどを整備する方針。特に、国際線の拡充に力を入れる考えだ。

 同社は、地場企業の西日本鉄道、九州電力と三菱商事、シンガポールの空港運営会社が設立し、福岡県も出資している。運営開始式典で、福岡国際空港の永竿哲哉社長は「東アジアトップクラスの国際空港を目指し、地域と共に成長したい」、小川洋知事は「福岡空港は、九州、西日本にとどまらず、今後はアジアの拠点空港にもなり得る」と語った。

日刊工業新聞2019年4月3日/5月9日



「福岡発の獲得は今後も目指す」


 24時間空港の利点を生かした北九州空港の存在感が増している。同空港が拠点のスターフライヤーは10月末に国際定期便を就航した。一方、全日本空輸も6月から国際定期貨物便の運用を始めた。福岡県内には国際空港の福岡空港があるが「混雑空港」のため、航空各社の新規乗り入れや発着枠拡大が難しい状態が続く。補完する意味からも100キロメートル圏内にある北九州空港の存在が欠かせない。

 スターフライヤーは北九州・中部の2空港と台北(桃園)を結ぶ新路線に参入した。2014年3月に韓国・釜山線を休止して以来、ほぼ4年半ぶりの国際線再参入となる。当初は福岡―台北線も予定していたが、福岡空港の発着枠が獲得できなかったため断念したが、松石禎己社長は「福岡発の獲得は今後も目指す」としており、県内2空港を利用した業容拡大を狙う。

 また、全日本空輸は24時間運用の利点を生かし、深夜発便で沖縄・那覇空港を経由して上海などアジア主要6都市に貨物便を運ぶ業務を始めた。傘下のANAカーゴ(東京都港区)が業務を担い、19年度7000トンの取扱量を見込む。これまで関西や成田空港に一度輸送していた貨物が九州から発送可能となるため、迅速な輸出が図れるという。自動車や電子部品のほか、生鮮食品などにも期待する。

 北九州空港の17年度利用者数は約164万人。約2380万人の福岡空港と大きな開きはあるものの、訪日外国人(インバウンド)増加で過去最高を記録した。16年末の韓国の格安航空会社(LCC)ジンエアーなどの就航も後押しし、今後もLCC誘致による観光客増を狙う。

 九州最大都市・福岡市に近い北九州空港は、福岡空港の代替機能を果たすことで成長が可能だ。滑走路が1本しかない福岡空港は常に過密状態で、使い勝手が悪い。北九州空港へ国際線利用を一定数移すほか、災害など有事の際に代替できるようになれば利便性は高まる。福岡県と北九州市は、地方都市が二つの空港を持つという好条件を最大限利用して、地域のさらなる活性化に生かしてほしい。

日刊工業新聞2018年11月22日

  

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