ブランド続々投入、アサヒが中国ビール市場を狙う理由

プレミアムで酔わす

 アサヒグループホールディングス(GHD)は、中国でプレミアムビールの販売を加速している。同国のビール市場は低成長が続くが、プレミアムビール市場は2ケタもの成長が期待できる。主力の「アサヒ スーパードライ」の販売は好調で沿岸部の大都市を中心に拡販。2018年からは欧州ビール事業のプレミアムビール「ペローニ・ナストロ・アズーロ」と「ピルスナー・ウルケル」を投入しており、同市場での存在感を高めていく。(文=編集委員・井上雅太郎)

 アサヒは1994年に中国に進出したが、市場では「雪花」や「青島」などの地元ビールがシェアを固めていた。98年にはスーパードライを発売した。岡村高志アサヒGHD国際ビール部門プロジェクトマネジャーは「地元の低価格ビールとの価格差があり、高級料理店や日系の販売店などで高品質をPRしながら地道に売り場を広げていった」と当時を振り返る。

 2010年頃からは状況が変わった。国自体が豊かになり、日系のコンビニエンスストアが広がった。プレミアムビールの需要は近年大きな伸びが続いている。市場全体の14%ほどだが、今後も成長が期待できる。

 18年のアサヒブランドの販売数量は前年比10%増の195万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と2ケタの伸びを確保した。そんなプレミアムビールの好調さの中でさらにドライブをかける狙いもあり、欧州ブランドのペローニとピルスナー・ウルケルを中国市場で投入。18年夏には上海市でそれぞれのブランドを発表するキックオフイベントを開催した。

 「中国市場で欧州ブランドを加えて商品ラインアップが拡大したことは販売戦略上で大きな意味を持つ」と岡村プロジェクトマネジャーは強調する。販売ではスーパードライの既存の販売ルートも活用するが、さらに新規開拓の余地が生まれる。

 それぞれのブランドのターゲットとする層が微妙に異なるためだ。ペローニは高級なイタリアンレストランや洗練されたバー、高級スーパーを対象に食・ファッションにこだわりがある層を狙う。またウルケルは伝統的なビアパブやホテルのバーなどを対象に、本当にビールを好きな人がターゲットだ。

 「日本のビールを扱わなかった高級イタリアン料理店に、イタリアのペローニと一緒にスーパードライを売り込むことが可能になった」と岡村プロジェクトマネジャーは戦略の一端を語る。また、ウルケルはピルスナービールの元祖であり、また別のポジションの確立が可能になる。

 中国ではスーパードライ、ペローニ、ウルケルを戦略ブランドと位置付けて拡販する。欧州ブランドは北京、上海など沿岸部の大都市で拡販していく。現在、販売地域は沿岸部の都市から内陸の武漢や成都にも拡大している。先行きは内陸部での販売強化も進めていく。

上海で開催した「ペローニ」の発表イベント(左端が小路明善アサヒGHD社長)

日刊工業新聞2019年5月8日

  

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