OECDが提言した「就職氷河期世代」に必要な対策

「雇用アウトルック2019」を発表

 経済協力開発機構(OECD)は25日、加盟国の雇用に関する報告書「雇用アウトルック2019」を発表した。日本の労働市場には、労働条件や賃金が異なる正規雇用と非正規雇用の二重性があり、政府が進める「同一労働同一賃金」の導入で解消すべきだと強調。非正規を含む全労働者による団体交渉の活用を後押しし、労使間の力の不均衡の是正を求めた。「就職氷河期」世代など立場の弱い層には、技能向上に向けた研修機会を設ける必要性を訴えた。

 OECDの報告書では加盟諸国の働き方について、非標準的な働き方が全体の3割を超すとした。インターネット上の活動基盤(オンラインプラットフォーム)を介した仕事が労働力全体の0・5―3%に伸び、雇用者の9人に1人が臨時雇用者、就業者の7人に1人が自営業者という状況だ。

 日本では雇用が不安定な非正規雇用が全体の3割を占める。その中には実態が雇用者と同じながら、規制や納税、組合加入が適用されない「えせ個人自営業者」がいると指摘。労働者としての権利の保護が必要とし、より良い規制と実効力ある運用が重要とした。

 非正規雇用者らの労働組合への組織率は低いのが実情。だが日本では、パートやアルバイトの組合員が全加入者に占める割合は1990年の1・5%から、17年には7・9%に上昇し、加入後に労働条件の改善傾向がみられる。

 報告書では、日本は生産年齢人口(15―64歳)が減少する半面、近年の景気拡大で全体の雇用は着実に増え、18年には統計開始以来最大、同年齢層の雇用率も過去最高になったと説明。しかし、ロボット化、デジタル化で「労働者の54%が相当程度の省人化(自動化)リスクにさらされている」とし、その内訳として約15%の仕事が完全になくなり、約39%が大幅な変化を経験する可能性を指摘した。事業主にはリスクにさらされている層への訓練を求めるとした。OECDのステファノ・スカルペッタ雇用・労働・社会政策局長は「立場の弱い人たちへのきちんとした政策を講じる必要がある」と日本政府に訴えかける。

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日刊工業新聞2019年4月26日

  

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