「パジェロ」終了で、三菱の"DNA車“は何になる?
三菱自動車は、4輪駆動(4WD)車の代名詞とされるスポーツ多目的車(SUV)「パジェロ」の国内販売に終止符を打つ。現行モデルの販売は8月までの生産分をもって最後となる。発売から37年間、オフロードでの走りなどで人気を集めたが、市場環境の変化などにより販売終了を余儀なくされた。平成の時代が終わりを告げる中、三菱自の名車が新たな節目を迎えた。
パジェロは三菱車の特徴と言える高い走破性と耐久性を持つ車だ。耐久性は後の主力SUV「アウトランダー」などにも生かされており、「三菱自動車のDNA」(三菱自OB)との声もある。
特に80年代後半から90年代はキャンプなどアウトドア向け自動車「RV(レクリエーショナル・ビークル)」ブームの先駆けとなった。ピーク時の92年度は8万台超を売った。94―95年度には三菱自の国内販売シェアが過去最高の12%を超え、業績のけん引役にもなった。テレビ番組の目玉景品にも選ばれるなど、RVの中では国内で最も有名な車の一つとなった。
だが、ブーム後は競合他社の攻勢や需要の変化などにより、パジェロの人気は一服。近年は小型や中型のSUVは好まれるものの、大型で操作しづらいなどの理由から「大型4WD車のニーズは減ってしまった」(広報)という。現在も根強いファンはいるが、18年度の国内販売台数は532台に留まる。
自動車業界は「100年に一度」とされる変革を迎えている。三菱自は変革に対応するため、選択と集中を進めている。パジェロの新型車開発を検討する中で、開発コストと販売見通しを勘案し、販売の終了を決断した。不祥事の発覚などで経営が傾いた際に、パジェロは生産や販売の中止が検討されてきた。看板車だけあってこれまで販売は継続してきたが、今回の変革の波からは逃れることはできなかった。
今後、国内販売は打ち切るものの、パジェロ製造(岐阜県坂祝町)での生産や海外販売は継続する見通し。24日には700台限定で販売する特別仕様車「パジェロ ファイナルエディション」を発表した。消費税込みのメーカー希望価格は453万600円。
パジェロで培ったDNAを引き継いで、次代のニーズを捉えた車を生み出せるか。三菱自の新たな“代名詞”に期待したい。
(文=渡辺光太)
パジェロは三菱車の特徴と言える高い走破性と耐久性を持つ車だ。耐久性は後の主力SUV「アウトランダー」などにも生かされており、「三菱自動車のDNA」(三菱自OB)との声もある。
特に80年代後半から90年代はキャンプなどアウトドア向け自動車「RV(レクリエーショナル・ビークル)」ブームの先駆けとなった。ピーク時の92年度は8万台超を売った。94―95年度には三菱自の国内販売シェアが過去最高の12%を超え、業績のけん引役にもなった。テレビ番組の目玉景品にも選ばれるなど、RVの中では国内で最も有名な車の一つとなった。
だが、ブーム後は競合他社の攻勢や需要の変化などにより、パジェロの人気は一服。近年は小型や中型のSUVは好まれるものの、大型で操作しづらいなどの理由から「大型4WD車のニーズは減ってしまった」(広報)という。現在も根強いファンはいるが、18年度の国内販売台数は532台に留まる。
自動車業界は「100年に一度」とされる変革を迎えている。三菱自は変革に対応するため、選択と集中を進めている。パジェロの新型車開発を検討する中で、開発コストと販売見通しを勘案し、販売の終了を決断した。不祥事の発覚などで経営が傾いた際に、パジェロは生産や販売の中止が検討されてきた。看板車だけあってこれまで販売は継続してきたが、今回の変革の波からは逃れることはできなかった。
今後、国内販売は打ち切るものの、パジェロ製造(岐阜県坂祝町)での生産や海外販売は継続する見通し。24日には700台限定で販売する特別仕様車「パジェロ ファイナルエディション」を発表した。消費税込みのメーカー希望価格は453万600円。
パジェロで培ったDNAを引き継いで、次代のニーズを捉えた車を生み出せるか。三菱自の新たな“代名詞”に期待したい。
(文=渡辺光太)
日刊工業新聞2019年4月25日