「F-35A」墜落原因の究明、米側の軍事機密が壁に?

日本側に責任が負わされるケースも

 航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機「F―35A」が青森県三沢市沖で訓練中に墜落した問題で、防衛省は海中に沈んだ機体の回収を目指すとともに、航空幕僚監部内に航空事故調査委員会を立ち上げ、原因究明を急ぐ。ただF―35Aは最新軍事機密の塊で、米軍や米ロッキード・マーチンが関連情報をどこまで開示するかは不透明。曖昧な幕引きや、日本側に責任が負わされるケースも想定される。

 防衛省は墜落事故を受け、国内に残る12機と、国内で最終組み立てをする予定の21機の飛行を見合わせている。事故を起こしたのは三菱重工業の小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てられた初号機。米国や海外ではF―35Aが墜落した例はなく、今回の事故原因が日本側に押し付けられる可能性は強い。

 事故を起こした機体はこれまでに複数回、不具合を起こしている。1回目は2017年6月の試験飛行中、冷却系統に異常を知らせる警報装置が作動し、緊急着陸した例。この時は地上で部品を交換し、飛行を再開した。

 2回目は18年4月にキャノピー(天蓋)がロックされていない警告ランプが作動した例。地上に降りて点検したところ、キャノピーに異常はなく、警告ランプの誤作動だったことが判明した。

 F―35Aはそもそも、当初の予定に対して開発が大幅に遅れ、飛行を急いだ経緯がある。米会計検査院(GAO)は18年にF―35に未解決の課題が計966件あると発表。この中には安全性や重要な性能を危険にさらす問題も含まれている。

 F―35Aは日本側が組み立てる機体も内実は米国と共同生産国が製造した部品を日本の工場へ運び、組み立てるだけ。ライセンス生産と違い、国産部品を組み立てる方式ではない。

 事故原因を究明するといっても、実現には米軍関係者や米企業の協力が不可欠になる。軍事機密を理由に日本側の参加が制限され、米側報告の言いなりになる可能性もある。日本は最終的にF―35Aを垂直離着陸型のB型も含め計150機近く調達する方針で、原因究明が遅れれば自衛隊での運用にも支障が生じかねないだろう。

日刊工業新聞2019年4月13日

  

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