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東北大と京大が15万人試料からiPS細胞へ、治療法研究に期待

東北大と京大が15万人試料からiPS細胞へ、治療法研究に期待

6名の血液細胞由来のiPS細胞のうちそれぞれ1つの細胞株の写真(東北メディカル・メガバンク機構発表資料から)

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は11日、都内で会見を開き、ToMMoが進める研究の参加者の血液からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製することに成功したと発表した。ToMMoが保有する約15万人分の血液細胞から必要に応じてiPS細胞を作製することが可能になるという。疾患の治療法や予防法開発の研究へ貢献が期待される。

 ToMMoでは東日本大震災からの復興と個別化医療実現を目指し、東北メディカル・メガバンク(TMM)計画を進め、これまでに約15万人の血液や尿といった生体試料を収集している。

 CiRAの山中伸弥所長、斉藤潤准教授らは、TMM計画に参加した健康な人から得た血液の細胞を元に、iPS細胞を作製することに成功した。作製したiPS細胞を組織に分化させ、全遺伝情報(ゲノム)と組み合わせた健康医療や創薬の研究に役立てることが期待される。

 ToMMoの山本雅之機構長は「TMMの試料を元にしたiPS細胞を多くの人たちが使ってくれることを通して、科学技術が発展してほしい」と話した。また山中所長は「ゲノムの研究をしている方に門戸を開き、iPS細胞を研究に使ってもらいたい。連携を成功させ、個別化医療の研究につなげたい」と意気込みを語った。
日刊工業新聞2019年4月12日

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