「ものづくり白書」最新版、見どころをサクッと紹介!

「AI・IoT人材」「熟練技能デジタル化」「プログラミングや数理データ教育の推進」

 政府は、2019年版「ものづくり白書」の骨子案をまとめ、自民党部会に提示した。製造業の多くが技能継承に課題を抱えており「問題意識はかつてなく高い」と指摘。その上で、技能継承が円滑な企業は「労働生産性が高く、人材定着が良好」と論じ、技能継承の意義を強調した。また特定のニーズに特化したサービスの提供や重要な部素材の世界展開など、製造業の“勝ち筋”も示した。6月上旬の閣議決定を目指す。

 白書は経済産業、厚生労働、文部科学の3省がまとめた。製造業のデジタル化とものづくり人材の確保・育成に焦点を当てた。データを活用した新たなビジネスモデルが製造業のさまざまな領域で広がっている現状を評価。「人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)に知見を持つ人材が活躍できる環境の有無がデジタル化の成否を分ける」と指摘した。

 また人手不足が深刻化する中、「職人の匠(たくみ)の技そのものや、品質、技術力を裏打ちする良質なデータが現場に存在するうちに将来を見据えた対策を行うことが急務」と技能継承の重要性を論じた。第4次産業革命の中で製造業が勝ち抜くためには「新たな時代において必要となるスキル人材の確保・組織作り」や「熟練技能のデジタル化と徹底的な省力化」といった策を示した。

 調査によると、製造業で技能継承に問題がある事業所の割合は16年に54・7%に達する。団塊の世代が雇用延長の期限を迎え、技能継承が途絶える恐れがあった07年の51・6%を上回った。

 他社と比べた労働生産性と技能継承の成果に関する調査では、技能継承がうまくいっている企業では生産性が高く、うまくいっていない企業は生産性が低いという。将来を見据えた人材育成や技能継承に必要なツール、体制整備などを促した。

 他方、白書ではイノベーションの源泉となる開発基盤の整備についても言及した。モノづくりに関する基盤技術の開発や研究開発基盤の整備に加え、新たな価値を生み出すことができる人材を量・質ともに充実させることが必要と論じた。

 開発基盤の整備では、大型放射光施設「スプリング8」や大強度陽子加速器施設「J―PARC」を挙げた。スプリング8は原子・分子レベルで解析する世界最高水準の性能を有し、特に材料評価の点でモノづくりを支えている。

 教育施策に関しては、超スマート社会「ソサエティ5・0」の実現に向けた動向を記載。プログラミング教育や数理データサイエンス教育の推進、実務家教員を育成・活用するシステムの構築などを示した。

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日刊工業新聞2019年4月12日(政治・経済)

  

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