ものづくり現場の文系技術者、活躍の秘訣は?

企業に共通する社員の教育姿勢

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「やる気があればできるようになる」と身をもって示す、マルイ鍍金工業の石田さん
 文系出身ながら製造や設計の現場で活躍する技術者がいる。理系出身でないと就けないとみえる職場でも、現場で学び、技能を身に着けることで文系技術者が生まれている。こうした文系技術者のいる企業は、広く門戸を開き「社員は育てるもの」との考えを貫く。多様な採用が人手不足対応の一助にもなりそうだ。文系技術者が活躍する企業を追った。

電気回路設計


 設備の電気回路の設計などを手がける室住設計(神戸市中央区)の村本涼輔さんは、神戸学院大学人文学部出身。新卒で入社した。室住孝一社長に同行してセンサー装置メーカーに行き、自社が設計したプログラム通りに作動しているか確認ボタンを押す。

室住社長は客先で装置の動きを見せることで、図面にある機器や装置の使われ方を理解させる。設計のイメージができるようにするのが狙いだ。同行を重ね、村本さんも「現場と図面が一致するようになった」と笑顔を見せる。

メッキ国家資格


 電解研磨のマルイ鍍金工業(兵庫県姫路市)では、高校普通科卒で入社した石田隆弥さんが製造部のリーダーとして、約20人の部下を引っ張る。入社当初はメッキのことは全くわからず、技術部の先輩社員たちに聞く毎日だった。先輩たちも休み時間にメッキの練習をする石田さんを見ればそれに付き合った。

 作業の中で仕事を覚えるオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で技能を身に着け、2017年に国家資格である、「2級溶融亜鉛めっき技能士」に一発合格した。石田さんは「やる気があればできるようになる。2年以内には1級も受検してメッキのスペシャリストを目指したい」と志は高い。

新商品開発


 大手企業でも理系、文系にこだわらず採用しているのが、自動車用ホースメーカーのニチリンだ。数学に強い文系出身者には、面接時に理系仕事に興味があるかを聞く。本人が「やってみたい」と言えば、できる限り配慮した配置を実施し、設計や新商品開発に携わっている。

 「文系イコール営業となりがちだが、製品をわかっていないと営業はできない」(ニチリン)といい、技術を理解した人材は、活躍の幅も広いことを象徴している。
(文=編集委員・丸山美和)

日刊工業新聞2018年10月5日

COMMENT

マルイ鍍金の井田統章社長は「経歴は関係ない。素直でやる気があれば十分。定着率も高い」と説く。多くの製造業で人材不足が深刻になる中、これまでの枠や概念にとらわれない採用や配置という柔軟な対応が課題解決の端緒となっている。(編集委員・丸山美和)

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