ロボベンチャー社長が考える4つのパラダイムシフトとは?

コネクテッドロボティクス社長・沢登哲也 ②

 私は2009年から米マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャー企業で独自の産業用ロボットコントローラーの開発を担当するようになった。この2000年代終盤から最近までの業界の流れを俯瞰(ふかん)すると、パラダイムシフトとも呼べる大きな変化が同時に起きている。

 一つめは人と一緒に働くために作られた協働ロボットが現れたこと。二つめは主に中国の台頭による全世界のロボット稼働台数の大幅な増加。三つめはIoT(モノのインターネット)と呼ばれる機器間のコミュニケーションとデータ活用の進展。そして四つめはディープラーニング(深層学習)をはじめとする新たなアルゴリズムの発展である。

 工場の自動化分野でこういった変化が起きている理由は、変化するマーケットに素早くついていくため(変種変量生産への対応)であった。大きな変化の波が業界の内側からではなく外側から押し寄せてきており、それは今も続いている。

 一方で私の仕事は、ロボットコントローラというロボットの基本ソフト(OS)にあたるソフトウエアを1から開発することだった。

 さまざまな産業用ロボットに対応するため、国内外の大手ロボットメーカーの機能仕様書やマニュアルをひたすら読みあさり、顧客の要望と合わせながら実装していった。私はこの仕事が心から好きで熱中した。

 私のようなろくに経験もない若者に、新しい製品の開発にのめり込める自由な環境を提供してもらえたのはベンチャー企業ならではだったと思う。当然、責任もそれなりにあった。作ったものがなかなか売れなかったり、顧客の求める機能が足らず、もっともっと開発しなければならなかったりしたのは苦しかった。自分の作ったものが顧客から評価を受けるのはスリリングだったが、うまくいったときの喜びはとても大きかった。

 ここで学んだのは、忍耐強く顧客が欲しがるようなものを作るということだ。その実現には、洞察と経験、そして何よりも失敗を恐れず何度でもチャレンジするという前向きで忍耐強い姿勢が必要となる。

 私は10年近く産業用ロボットと向き合ったが、ロボットの可能性にとてもワクワクし、年を追うごとにその感覚は増している。そして、ロボットをもっと身近で「顧客の顔」が見えるところで使ってみたいと考え、飲食業に戻ってきた。この分野は間違いなくチャンスが多く、チャレンジが必要である。そして何よりも重要なのは私が飲食業とそこに携わる人々を心から好きだということである。だからこのチャレンジを続けられるのは私しかいないと思う。

 次回はその経緯や理由を掘り下げていきたい。(全8回、毎日掲載)
【連載】
コネクテッドロボティクス社長・沢登哲也①

日刊工業新聞2018年7月13日(ロボット)

  

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