「顧客が楽しくなるサービスはどんどん追加する」(KDDI新社長)
KDDIが新たなリーダーの下でスタートを切った。4月1日に就任した髙橋誠社長は「通信とライフデザインの融合」を掲げ、スマートフォン顧客などに電子商取引(EC)や金融などの非通信サービスを提供する体制の強化を加速する。楽天による携帯キャリア事業参入など、市場環境の変化が予想される中で持続的な成長をどう実現するのか。髙橋社長に聞いた。
-事業戦略として掲げる「通信とライフデザインの融合」の具体策は。
「我々は多様なアプリやウェブサービスをを提供しており、毎日1000万人くらいが利用している。そのデータを活用することで顧客を理解できる。それを基盤にライフデザイン商材を顧客に提案することが基本だ。その中で時代はモノ消費からコト消費に変わっており、顧客がサービスを利用してどう体感したかという体験価値の提供が重要。顧客の生活が楽しくなる商材とは何かを議論している」
-体験価値を意識したサービスとは。
「電子商取引(EC)サービスに(商品をライブ動画で紹介するライブコマース機能などを導入して)買い物を楽しくしたり、温泉と音楽ライブなどのパッケージ旅行を顧客のデータに基づき提案したりするイメージだ」
-ライフデザイン商材としては「EC」「金融」「教育」などを強化していますが、追加したい分野はありますか。
「顧客が楽しくなるサービスであればどんどん追加していけば良い。今までのECや金融といった(分野ごとの)整理はプロダクトアウトの考え方だった。ECや金融などを担当する部署とコンテンツなどの担当部署を4月に統合しており、新しいサービスを作る体制は整えた」
-体験価値という考え方においてはシェアリングサービスは親和性が高いと思いますが、御社として提供のお考えはありますか。
「コト消費に飢えている時代においてシェアリングは重要なワード。我々の顧客がシェアで自転車を安く利用することが一つの体験価値とするならば、すでに多くのプレイヤーがいるので我々の傘下に入っていただく形もよいと考えている」
-楽天の携帯キャリア事業参入をどう捉えていますか。
「多様な企業が競い合ってサービスを作ることは顧客にとって良いことだ。ただ、新しい競争軸が生まれるため我々も頑張らなくてはいけない。一方、通信インフラの構築にはコストがかかる。全国の隅々まで通信環境を提供する場合に(楽天が計画する)6000億円は決して十分ではないと思う」
-楽天はECなどのライフデザイン領域で蓄積した顧客基盤を武器に参入してきますが、どう対抗しますか。
「我々も4000万人の顧客を持ち、通信サービスにより(ECなどの顧客よりも)強くつながっている。このため(我々の方が)顧客の行動はより深く理解できると考えており、(ライフデザイン商材の提案において)強みになる」
-法人向けのIoT(モノのインターネット)事業拡大のための戦略は。
「IoTは通信だけで利益を生むのが大変だ。IoTを活用した新たなビジネスモデルを作らなくてはいけない。このため、デザインシンキングやアジャイル開発、データ分析などを議論できるIoTラボを夏頃に開設する。施設の回りには第5世代移動(5G)の通信網を構築して試験できる環境も作る。我々が投資してきたソラコムやアライズなども参加し、顧客企業によるIoT事業の開発を支援していく」
-法人IoTの事業規模の見込みは。
「具体的な達成目標時期は言えないが、やるからには1000億円レベルの売り上げ規模を目指す」
-海外事業の戦略はどう考えていますか。
「現在はミャンマーやモンゴルで携帯事業を展開しており、次の進出先として東南アジアのいろいろな国を検討している。(東南アジア各国は)平均年齢が若いためビジネスチャンスはある」
(聞き手=葭本隆太)
データ活用で顧客理解
-事業戦略として掲げる「通信とライフデザインの融合」の具体策は。
「我々は多様なアプリやウェブサービスをを提供しており、毎日1000万人くらいが利用している。そのデータを活用することで顧客を理解できる。それを基盤にライフデザイン商材を顧客に提案することが基本だ。その中で時代はモノ消費からコト消費に変わっており、顧客がサービスを利用してどう体感したかという体験価値の提供が重要。顧客の生活が楽しくなる商材とは何かを議論している」
-体験価値を意識したサービスとは。
「電子商取引(EC)サービスに(商品をライブ動画で紹介するライブコマース機能などを導入して)買い物を楽しくしたり、温泉と音楽ライブなどのパッケージ旅行を顧客のデータに基づき提案したりするイメージだ」
-ライフデザイン商材としては「EC」「金融」「教育」などを強化していますが、追加したい分野はありますか。
「顧客が楽しくなるサービスであればどんどん追加していけば良い。今までのECや金融といった(分野ごとの)整理はプロダクトアウトの考え方だった。ECや金融などを担当する部署とコンテンツなどの担当部署を4月に統合しており、新しいサービスを作る体制は整えた」
-体験価値という考え方においてはシェアリングサービスは親和性が高いと思いますが、御社として提供のお考えはありますか。
「コト消費に飢えている時代においてシェアリングは重要なワード。我々の顧客がシェアで自転車を安く利用することが一つの体験価値とするならば、すでに多くのプレイヤーがいるので我々の傘下に入っていただく形もよいと考えている」
-楽天の携帯キャリア事業参入をどう捉えていますか。
「多様な企業が競い合ってサービスを作ることは顧客にとって良いことだ。ただ、新しい競争軸が生まれるため我々も頑張らなくてはいけない。一方、通信インフラの構築にはコストがかかる。全国の隅々まで通信環境を提供する場合に(楽天が計画する)6000億円は決して十分ではないと思う」
-楽天はECなどのライフデザイン領域で蓄積した顧客基盤を武器に参入してきますが、どう対抗しますか。
「我々も4000万人の顧客を持ち、通信サービスにより(ECなどの顧客よりも)強くつながっている。このため(我々の方が)顧客の行動はより深く理解できると考えており、(ライフデザイン商材の提案において)強みになる」
法人IoT事業、1000億円規模に
-法人向けのIoT(モノのインターネット)事業拡大のための戦略は。
「IoTは通信だけで利益を生むのが大変だ。IoTを活用した新たなビジネスモデルを作らなくてはいけない。このため、デザインシンキングやアジャイル開発、データ分析などを議論できるIoTラボを夏頃に開設する。施設の回りには第5世代移動(5G)の通信網を構築して試験できる環境も作る。我々が投資してきたソラコムやアライズなども参加し、顧客企業によるIoT事業の開発を支援していく」
-法人IoTの事業規模の見込みは。
「具体的な達成目標時期は言えないが、やるからには1000億円レベルの売り上げ規模を目指す」
-海外事業の戦略はどう考えていますか。
「現在はミャンマーやモンゴルで携帯事業を展開しており、次の進出先として東南アジアのいろいろな国を検討している。(東南アジア各国は)平均年齢が若いためビジネスチャンスはある」
(聞き手=葭本隆太)
日刊工業新聞2018年4月6日の記事に加筆