ハラスメント量産時代、トヨタの向き合い方

企業内訓練校にその一端を見た

 カラハラにブラハラ、エアハラ―。一体何かお分かりだろうか。これらは全て“○○ハラスメント”の略語。インターネットでざっと調べただけでも、30種類以上はあるらしい。

 答えは順にカラオケでの歌の強要、血液型(ブラッドタイプ)による性格の決めつけ、勝手に温度を下げるなど空調(エアー)によるハラスメントだという。もちろんハラスメントは言語道断だが、どこまで神経質になればいいのかと少し憂鬱(ゆううつ)にもなる。

 トヨタ自動車の企業内訓練校「トヨタ工業学園」の卒業式を拝見した。高等部の生徒は中学卒業後、生活を共にしながら技能習得に励む。担任教師に名前を呼ばれ「ハイ!」と大声で返事をするさまや一糸乱れぬ動作は、訓練の厳しさを想像させる。

 卒業式に出席したトヨタの豊田章男社長は「皆さんは技能という一芸を高め続けるプロ人材だ。いつか先輩を超えてほしい」とエールを送る。そして「不確実な時代で正解のない中、決して課題から逃げずに絶えず“ベター・ベター”の精神で答えを出して行くのがリーダーだ。そんな人材が育っているのは心強い」と期待を込める。

 訓練の辛さは彼らの言葉の端々にも表れる。しかし皆、表情からは誇りが伺え、目には力強い光がともっていた。許される厳しい指導と、許されない指導の差は何かと考えさせられる。

 “○○ハラ”を恐れ、部下や後輩との接し方に戸惑っている企業人は多いだろう。結局、相手を尊重し愛情を持って接する思いやりと、日常のコミュニケーションが肝要ではないかと、晴れやかな顔で巣立つ若手技能者を見て感じた。

日刊工業新聞2019年3月19日の記事に一部加筆

  

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