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「日本酒学研究会」が発足、どんな研究者が集まった?

15大学・大学院から約20人が参加、さまざまな視点から日本酒の魅力を発掘
 清酒の酒蔵が日本一多い新潟県で、日本酒の歴史や文化などを学問として総合的に学ぶ「日本酒学」の普及・拡大の動きが活発化している。このほど、全国の研究者らが参加する学術団体「日本酒学研究会」が発足。各地の専門家が力を合わせ、研究を本格化させる。

 日本酒は一時のブームが下火となり、国内消費は下落傾向にある。一方、各地の酒蔵を巡って地酒を味わう「酒蔵ツーリズム」が外国人観光客を中心に関心を集めている。

 研究会は、昨年4月に日本酒の講座が開設された新潟大の沢村明教授らの呼び掛けで実現。発足時の参加者は、山形大や名古屋大、神戸大大学院、福岡大を含む15大学・大学院などの研究者ら約20人に上った。

 農学や経済学、薬学など、それぞれの専門分野を生かして日本酒に関係する研究を行い、年1回の総会などで成果を発表する。論文集発行や一般向けの講演会なども検討している。

 今月8日に新潟市内で開かれた設立総会では、会長を務める独立行政法人酒類総合研究所の後藤奈美理事長(写真)が「全国各地で日本酒研究に取り組む先生が一堂に会することで、新しい価値観、研究分野が開かれていく」とあいさつした。

 新潟県酒造組合の大平俊治会長は「味の分野だけでなく、背景にある歴史、文化などが研究会を通じて一般の人にも伝われば、日本酒の魅力の後ろ支えになる」と成果に期待を寄せている。
日刊工業新聞2019年3月19日

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