廃熱を電力に換える「鉄パイプ」、温水配管が電源になる日も

NECが開発

 NECは廃熱を電力に換える鉄系材料(鉄パイプ)を開発した。熱の流れを電流に変換する。10度Cの温度差で1平方センチメートル当たり0・4ミリワットの発電が可能。製造コストが低く、発電面積を広げやすいのが特徴。材料開発では人工知能(AI)技術を使った研究手法が突破口になった。将来、熱交換器や温水配管が電源になる道筋がついた。自動車メーカーとの協議を始めており、実用化を目指す。

 スピンゼーベック熱電変換という熱流を、スピン流を介して電流に変換する材料を開発した。この方式は白金を中心に研究が進められてきたが、今回は安価な鉄で実現した。さらに加工しやすいバルク材(塊)で出力密度が0・4ミリワットに達した。管材に加工して磁化させ、温水を流すと管材の長手方向に電流が流れる。

 熱交換器や発電所の排水など配管に利用すると、配管の内側と外側の温度差がある限り配管の全面積で発電する。既存のゼーベック熱電変換素子は2種類の素子を多数並べないと大面積化できない。加えてビスマス・テルル系は毒性元素で廃棄処理やリサイクルで課題がある。一方、新しい鉄系材料は発電コストはビスマス・テルル系を上回ったという。

 材料開発ではAI技術で元素を絞り込んだ。スピンゼーベック熱電変換はその原理が完全には解明されていない。そこで理論的な性能予測が不確かなところをAIで補完した。

 元素組成など百数十の条件で性能を予測して性能因子として扱う。この因子を組み合わせて新たに性能予測式を作り、実験データに合致するようにAIで因子を数個まで絞り込み、材料を探索した。

日刊工業新聞2019年3月7日

  

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