九州電、川内原発1号機を再稼働-新規制基準で初

次世代エネルギー技術の実用化までのつなぎ役に

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九州電力川内原子力発電所
**旭リサーチセンター相談役・永里善彦氏
 原発再稼働のメリットは、電源の選択肢に準国産エネルギーを追加することによるエネルギー安全保障、液化天然ガス等購入へのバーゲニングパワー、結果としてのエネルギーコストの削減及び地球温暖化対策に貢献すること等である。

 しかし我々は、天災(地震、津波、火山爆発等)や人災を起因とする原発重大事故を100%防げると過信してはならない。万が一、事故が起こった場合の避難対策を十分に検討して、リスクがあることを承知のうえ、メリットがあると判断して、今回再稼働に踏み込んだわけである。その意味で原子力発電は、あくまで次世代エネルギー技術(地上核融合発電、宇宙太陽光発電等)の実用化までのつなぎ役でしかないことを忘れてはなるまい。
(ニュースイッチ・ファシリテーター)

1年11カ月ぶり「原発ゼロ」解消


 九州電力は11日、川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1号機を再稼働させた。東日本大震災後に国が定めた新規制基準の下で初の再稼働となり、1年11カ月ぶりに「原発ゼロ」の状態が解消されたことになる。産業界が切望するエネルギーコスト低減に向けた大きな一歩となる。

 九電は同日午前、川内原発1号機の原子炉の核分裂反応を抑える制御棒を順次抜き、原子炉を起動させた。14日をめどに発電と送電をはじめ、9月上旬にも営業運転を再開する。

 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は再稼働を受けて「資源の乏しいわが国においては3E(供給安定性、経済性、環境保全)のバランスに優れる原子力発電の果たす役割は大きい」との談話を発表した。

 原発停止で3Eの取り組みは大きく後退した。経済性の面では電力各社が代替電源として火力発電所の稼働率を高めたため、液化天然ガス(LNG)などの燃料代がかさみ、産業分野向け電気料金は2010年度からの3年間で約3割上昇した。

 経団連が年初に行った会員企業向けの調査では、電力料金について製造業の8割が、震災前の水準かそれ以下が負担可能な限度額だと回答。さらに5割の企業が、限度額を超えた場合には国内の設備投資や雇用を減らす意向を示した。中小企業はより深刻な状況にあり、ほかの原発でも安全性を確保した上での利用再開が急務だ。

日刊工業新聞2015年08月12日 2/4面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

産業界としては「やっと再稼働してくれた」という感じでしょうか。今後、自然エネルギーの割合が増すとは言え、ソーラーパネルをつくるにも電力が必要なわけで、これから日本がどんな産業で“食べて”いき、そのためにどのようなエネルギーがどれだけ必要なのか考える必要があると思います。

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