定額制やリカーリング、製造業の競争軸が“サービス”に

収益基盤を強化

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アイボで見守りサービス
 製造業が新たなビジネスモデルを模索している。製品の販売後に有料の関連サービスを提供し、継続的に収入を得るリカーリングや、製品を「購入」せずに一定期間の「使用」を提案する定額制のサービスなどが相次いでいる。各社は多様化する顧客の需要に柔軟に対応したり、需要の創出を目指したサービスを展開することで収益基盤を強化する。

自動車 「所有」から「使用」 故障予防整備も


 トヨタ自動車は2月6日から都内で高級車ブランド「レクサス」を対象に月定額で3年間に6車種を使用できるサービス(サブスクリプション)「キントセレクト」を試験導入した。3月1日にはトヨタ車が対象の「キントワン」も試験導入する。新車を「所有」せず「使用」する発想。サービス運営会社「KINTO(キント)」(名古屋市西区)の小寺信也社長は「コネクテッド(つながる)サービスとキントのサービスを極力結びつけたい」と語る。

 コネクテッドサービスを標準搭載するレクサス車とキントの対象となるトヨタ車は車載通信機(DCM)とセットで提供する“つながる車”。顧客の安全運転・エコ運転などをポイント化し、支払いにも充当できる付帯サービスも今秋の全国展開に合わせて導入する計画だ。

 いすゞ自動車は遠隔で車両の運行情報を解析するテレマティクスサービス「MIMAMORI(みまもり)」を展開している。初期導入費用に加えて月額基本サービス料972円(消費税込み)で提供する。車両の安全管理や、故障を未然に防ぐ予防整備などを支援する。

 予防整備は、無償で利用できる整備サービス「プレイズム」も用意している。大・中型に加え、昨秋発売した新型の小型トラック「エルフ」にも搭載。スマートフォンのアプリを通じエンジンの状態や車検の時期などを確認できる。効率的な車両整備を促すことでも収益強化につなげる。

機械 部品不具合の予兆“診察”


 日立建機は建設機械のエンジンオイルや作動油の汚れ具合を監視するセンサーからのデータを分析し、部品の状態や不具合の予兆を把握するサービスを国内外で提供している。オイルを定期的に抜き取って分析する手間を減らすことができ、異常を知らせるリポートを販売代理店の担当者や顧客に発信する。こうした販売後も収益を確保するサービスなどを強化し、2019年度に建機販売以外のサービス売上高比率を5割に高める。

 工作機械業界は工費などの費用は二の次ととらえ、割り引いてしまうこともある。だが、こうした単に“手厚い”アフターサービスを提供する時代が変わろうとしている。顧客、メーカー双方の収益につながるサービスをいかに組成、実施するかが問われている。

 DMG森精機は、18年に野村総合研究所と新会社「テクニウム」(東京都江東区)を設立した。サービス、教育の両面から、中小規模の顧客が最新の機械とデジタルツールを駆使し、高効率な生産ができるよう支援する。

電機 見守り・パソコンで月額制


 ソニーは家庭用ゲーム機「プレイステーション4」で、オンライン対戦機能などを提供する3000万人超の有料会員を持つ。2013年末に発売したゲーム機本体の販売数は鈍化しているものの、会員収入が事業全体の収益を支える。さらにイヌ型ロボット「aibo(アイボ=写真)」が見つけてほしい人などを家庭内で探す見守りサービス「aiboのおまわりさん」も開始。セコムとの提携などで機能を継続的に拡張する。追加機能は6月に始める月額課金サービスで提供する。

 パナソニックは3月中にもノートパソコン「レッツノート」で、「保有」を「使用」に変更した月額制を開始。電池交換などを含めたサービスで、今後はパソコンの利用時間などから生産性向上を助言するサービスなどを追加する。同社は全社を挙げてリカーリングビジネスを推進している。ただ、樋口泰行専務執行役員は「優れた商品を提供して市場で優位性を築いてからでないと、リカーリングビジネスは広がらない」と、製品の性能や品質も重要だと強調する。

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