パナソニックが化粧の概念を変える

有機ELパネルの製造技術を生かして「化粧シート」を製造

 パナソニックは3月にも、顔に貼って化粧する「化粧シート」の製造システムを販売する。カメラを内蔵した鏡で、顔のシミなどを分析し、特殊な印刷機が個人に最適なテーラーメード式の化粧シートを製造する仕組み。有機ELの製造技術を転用して開発した。肌の調子にまつわるデータも履歴として残るため、利用者に肌の手入れについて助言できる。同社は化粧品メーカーや皮膚科の医療機関などの需要を見込む。

 カメラ画像により肌からの光の反射具合を解析し、しわや毛穴、小じわを特定する。この情報を基に、専用の印刷機が複数の層を重ねた化粧シートを作製する。特に光や色の三原色といった科学的な分析により、シミを隠す効果が高い成分などを選んで配合する。一般の化粧でシミ隠しを塗る部分も「シートがほとんど厚くならない」(イノベーション戦略室戦略企画部の川口さち子リーダー)という。プロのメーキャップに近い技を、誰でも実現できるようにしたい考えだ。

 ディスプレー機能も兼ねた鏡には、測定後にしわやシミなどの程度を5段階でグラフ表示する。過去の結果を一覧表示することも可能で、肌のケアがうまくいっているかどうかなども分かる。

 化粧品メーカーにとって、ネット通販の利用が増え、客が実店舗から遠ざかっているという課題がある。同社は、この肌の状態を分析するサービスにより、消費者が定期的に実店舗に通ってもらえる仕組みを売り込む考え。

 「男性からも需要があるのでは」と、川口リーダーは期待する。男性にも、あざやシミなどを隠したいという要望はある。実際、皮膚科などから「貼るだけの化粧シートなら男性にも使えるのではないか」という前向きな意見を聞いているという。

 化粧シートの製造には、薄膜を精密制御する有機ELパネルの製造技術が生かされている。パナソニックは印刷式という製造方式の開発を長年続けてきた。有機ELパネル事業はJOLED(東京都千代田区)に移管したが、薄い化学品の層を印刷して重ねる技術は、美容分野で花が開きつつある。
(文=大阪・平岡乾)

日刊工業新聞2019年2月14日

  

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