スポーツ放映権料バブル、スカパーの戦わない戦略

スカパーJSAT・高田真治社長インタビュー

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スカパー公式ページより
―有料動画配信事業が攻勢をかけています。市場環境をどう見ていますか。

「スポーツ中継の放映権料が高騰しており、放送コンテンツ獲得の面で我々の競争相手となっている。ここ数年は動画配信サービスの台頭が騒がれているが、高い放映権料を支払ってその資金を回収しなければならないため、彼らもまた厳しい局面に立っているだろう。日本で成功した動画配信事業者はまだ存在しないと思う。我々は放映権料が一種のバブルとなった現在の状態で戦うのではなく当社の事業を生かしたサービスを提供する」

―具体的には。

「1契約でテレビ3台まで放送サービスを視聴できる『スカパー!基本プラン』を2018年10月に投入した。家族の数だけコンテンツを楽しんでもらえるサービスで、(既存サービスからの移行を含め)これまで経験したことないスピードで加入者が増えている。2、3台目の放送料収入を失うことになるため一時の痛みはあるが、顧客からの評価は高い。解約率の低減も見込めるため、中長期的にはプラスに転じるだろう」

―放送コンテンツ以外の多様なサービスを提供する「LIFE事業部」を新設しました。

「働き方改革などが進み、(睡眠時間や労働時間を除いた自由に使える)“余暇時間”が増えるだろう。テレビ視聴に充てたり語学学習に充てたり、人によってさまざまな過ごし方がある。こうした余暇時間を取り込む。多様なニーズに対応するためにあらゆる企業と連携し、放送を軸にした新たなサービスを提供したい」

―どのようなサービスが考えられますか。

「インターネット機能を備えたテレビを活用すると、簡単な操作で買い物を済ませることができるかもしれない。また高齢者が困った時に我々のコンタクトセンターが対応したり警備会社と連携したり、介護や安全見守り関連サービスに可能性を感じている。LIFE事業を通してお客さまとより深い関係になれば、結果として我々のサービスが必需品となる」
                   

【記者の目/反転攻勢の準備着々】
主力の有料多チャンネル放送加入者の獲得では厳しい戦況が続くが、追加料金を支払わずにテレビ複数台で放送コンテンツを視聴できる新サービスで反転攻勢をかける構えだ。約300万の顧客基盤などを生かした新たな収益モデルを構築することが、今後の成長のカギを握る。
(大城蕗子)

日刊工業新聞2019年1月30日

COMMENT

葭本隆太
デジタルメディア局
ニュースイッチ編集長

2017年シーズンからのJリーグの放映権をDAZNに奪われたことは大きなインパクトがありました。有料動画配信市場の成長がゆったりしているとはいえ、有料放送事業者としてはかなり厳しい環境に追い込まれていると見られます。その中で、新しい事業をどう作っていくか。「LIFE事業」は一つでしょうが、スカパーJSATは衛星通信事業者の顔があります。その分野での進捗も重要になりそうです。

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