“入館証一枚”にこだわる三菱ケミカル社長の一体感

和賀昌之氏インタビュー

 ―自動車やエレクトロニクス分野の素材需要に陰りが見られませんか。
 「モノの荷動きは悪くない。(半導体材料などで)いったん屈伸運動で沈んだけど、また膝を伸ばしている。3月頃には戻るはずだ。ブレグジット(英国の欧州連合離脱)はあるものの、改元や2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて工事の最後の追い上げに入る時期で、国内中心に活気づいてきている。25年の大阪万博が決まったので、五輪後は大阪でインフラ整備需要が続きそうだ」

 ―4月から社長就任2年目を迎えます。
 「(18年4月の)社長就任までの3カ月の準備期間でやりたいこと、やるべきことを書きためて、就任後に各役員へ配って検討を指示した。そして100日後合宿、200日後合宿を開いて、やろうとしたことは全部着手できた。2年目はその1年目の延長線上でやり、実行度を高めたい。中でも、営業の改革は手応えを感じている。営業は自分の対面に会いに行くのではなく、ターゲットの顧客を社長以下みんなで囲むことで、営業担当者のマインドセットはすでに変わりつつある」

 ―「One MCC(三菱ケミカル)」を訴えて、国境を越えたグループ一体感の形成、強化に取り組んでいます。
 「私が持っている入館証は現状、本社のパレスビルでしか使えない。世界中どこでも1枚の入館証で建物に入れるのが理想だ。ただ、日本は独自の(ICカード)技術なので少なくとも国内で統一し、同一のソフトウエアで済む欧米・アジアなどは国外用の入館証1枚で入れるようにする。今後2―3年かけて全事業所、全グループ会社に導入していく」

 ―海洋プラスチック汚染問題を背景に生分解性樹脂「バイオPBS」への関心が世界的に高まっています。
 「問い合わせが急増しており、単なる興味から仕様検討まで多岐にわたる。その対応のために営業担当を増員している。19年度のバイオPBSの売上高は前年度と比べて3倍か5倍か10倍かは分からないが、間違いなく大幅に増える」
(聞き手=鈴木岳志)

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日刊工業新聞2019年1月23日

鈴木 岳志

鈴木 岳志
01月29日
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褒められて伸びるタイプを自認し、就任1年目の自己評価も高得点をつける。技術系社長が3代続いて比較的手薄だった営業改革などの基盤固めに取り組むあたりはさすが事務系だ。あえて事業会社トップとしての改善点を挙げるなら、事業戦略に“和賀色”がまだ感じられないところだ。社内外へ夢を語り、名実ともに三菱ケミカルの顔となれるか。

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