初の『春の10連休』、金融機関と市場関係者が身構えるワケ

18年末は株式相場急落も

 4月末からの10連休を控え、金融機関が連休前後の対応に身構える。銀行業界では連休明けに集中する各種取引の処理に対し、事務・システムの両面で対策を施す。証券業界では日本取引所グループ(JPX)が、連休明けに集中する企業の3月期決算への対応を検討する。政府も金融機関の対策状況を随時確認する方針で、金融業界は万全の体制で10連休に備える。

10連休は未経験


 「改元と過去最長の連休に向け、限られたスケジュールの中で万全の準備を行う必要がある」と、全国銀行協会(全銀協)の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は強調する。銀行業界ではこれまで6連休が最長で10連休は未経験となる。

 だが今回の連休中も現金自動預払機(ATM)による現金の引き出しやデビットカードなどの利用は可能で、通常の土日と基本的には変わらない。全銀協では昨年10月に、銀行間の送金データを24時間365日処理できる新システムを稼働済み。「連休中でも昼間の時間帯であれば約7割の銀行でリアルタイムの振り込みができる」(藤原会長)という。

 一方、窓口での口座開設や振り込みなど平日のみ対応のサービスは、長期間利用できなくなる。藤原会長は「お客さまへの案内が重要であり、事前の周知をしっかりやる」とし、全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)も「地銀協でも課題の一つと認識し、遺漏がないよう対応したい」と話す。

 各行も対応を進めており最大手の三菱UFJ銀行は18年12月に、連休前後を指定日とする取引について早期持ち込みを依頼するといった対応策を発表。他行も連休後に集中するバッチ処理などについて万全の体制で臨む。

日本市場だけ


 日本取引所グループ(JPX)は、傘下の東京証券取引所と大阪取引所の取引を4月27日から5月6日まで休場する。「大変なお祝いごとの中で、証券界がそれに反してマーケットを開くことはあり得ない」と話すのは、日本証券業協会の鈴木茂晴会長。

 ただ、18年末の株式相場では日本の連休中に相場急落となった。10連休でも日本だけマーケットが長期間閉まることになり、ボラティリティー(変動性)が高まるリスクがある。麻生太郎財務相は「連休の前後に売買が偏ることも考えないといけない」としており、金融機関のリスク管理はもちろん、顧客や投資家に対する事前の注意喚起が不可欠になりそうだ。

 企業の決算発表の集中を懸念する声もある。東証は上場企業に対し、決算期末から45日以内に発表することを求めている。3月期末決算企業の場合、例年は5月10日前後に決算発表が集中する傾向にある。各社が決算の前倒し発表が難しい場合、特定の日時に集中してしまう可能性も高い。JPXの清田瞭最高経営責任者(CEO)は「関係者に聞き取りを行い、何らかの対応が必要か、検討していきたい」としている。
日本だけ市場が長期間閉まる。投資家に事前の注意喚起必要に

(文=長塚崇寛、浅海宏規)

日刊工業新聞2019年1月29日掲載

  

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