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日本規格協会が組織を“3分割”する理由

法改正後のJIS制定でけん引役に
 日本規格協会(JSA)は組織を3分割し、4月に3法人からなる「JSAグループ」とする。規格開発、規格審査・認証、資格登録の主要3機能について、それぞれ法人格を持たせ、機動力と専門性を高める。IoT(モノのインターネット)関連など新たな国際標準規格の検討が進み、国内では7月に改正工業標準化法(JIS法)の全面施行が予定され事業環境が大きく変わる中、体制を強化する。

 2018年10月に、規格に関する審査・認証機能を持つ日本規格協会ソリューションズ、標準化人材登録など資格登録を行う日本要員認証協会を設立した。JSA本体は規格開発を担う。JSA本体と合わせ計3法人のグループ体制を敷き、19年4月に始動する。

 JSAはもともと、規格の原案作成から利用支援まで標準化に関する総合的な機能が特徴だが、組織分割で意思決定の迅速化や専門性の向上などを図り、価値を高める。

 また再編を通じ、日本工業規格(JIS)の制定に民間の力を活用する改正JIS法への対応も進める。新たなJIS法では認定を受けた機関が国に代わり規格制定・改正を審議できるようになる。JSAは認定取得に向けた準備を進めており、19年7月から始まる新制度のけん引役として期待される。

 欧米では英国規格協会(BSI)やドイツ規格協会(DIN)などJSAのような標準化団体が国家規格の審議を担い、国際的にも影響力を持つ。

 他方、日本では経済産業省の審議会が同じ機能を持つため、従来JSAの存在感は限られた。認定機関になればJIS制定により深く関与することになり、役割は重くなる。
日刊工業新聞2019年1月25日

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