元ソニー技術者が女性型等身大ロボットを開発した理由

スピーシーズ・春日知昭社長インタビュー

 ロボットベンチャーのスピーシーズ(東京都武蔵野市、春日知昭社長、0422・90・2650)が、等身大のモーションフィギュアロボット「高坂(こうさか)ここな」を開発した。同ロボットは2017年2月に発売した身長45センチメートルのロボに続く、“2代目”。春日社長は元ソニーの技術者として、イヌ型ロボ「アイボ」の開発に携わった経験を持つ。今回の開発の狙いやコミュニケーションロボの今後を聞いた。

―コミュニケーションや“癒やし”などでペット型のロボットが多い中、あえて女性型を採用した理由は。
 「人がロボをパートナーとして受け入れてくれる理由は、感情移入できるかどうかだと思う。ペットの動物型よりもヒト型の方が、よりパートナー的だ。女性型のロボットは作るのが大変難しい。リアル感を出すために手足を細く作らなければならないし、しなやかな動きや容姿全体のプロポーションもある。今回、37関節の駆動部分やサーボモーターの取り付け位置の工夫などで、そうした難題を解決した」

―アイドルのようですが、ホンダのヒト型ロボ「アシモ」やソニーの「アイボ」のように歩行はしませんね。
 「歩行ができたからといって、特に面白いことができるとは思わない。それよりも大事なのは“表現力”だ。今回のロボットは人と等身大である特徴を生かして、ミュージシャンやアニメキャラクターでの活用を考えている。(人気アーティストの)『Perfume(パフューム)』のようなダンスユニットに混じって一緒に踊らせるとか。アニメでは『初音ミク』のような電子アイドルが誕生し成功したが、リアルな世界でもそれができる」

―表現力を増すために、人工知能(AI)を使う考えは。
 「AIはあまり興味がない。あくまで業務用での活用を考えているので、キャラクターに応じていろいろなロボットを作り、芸能プロダクションのように派遣する事業を考えている。家庭でコミュニケーションロボットが普及するのはまだまだ先だろう。現在の水準ではAIスピーカーとさほど変わらない。ただ、いずれは各家庭に1台の時代が来ると思う。その時に備えて、いろいろと準備はしている」

スピーシーズ社長・春日知昭氏

【記者の目/パートナーとして究極の姿】
 手塚治虫の漫画「火の鳥」に登場するオルガやチヒロといったロボットは皆女性で、主人公への愛や共感など、さまざまな人間物語を繰り広げる。春日社長は女性型ロボの製作の難しさを強調しつつも、感情移入できるパートナーとして究極の姿であると指摘する。初音ミクなどバーチャルの世界で“女性”タレントが多いのも、そうした現実と無縁でない気がする。
(聞き手・嶋田歩)

日刊工業新聞2019年1月14日

  

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