子会社が大型M&A、三菱ケミHD社長「親子上場のあり方検討」

三菱ケミカルホールディングス社長・越智仁氏インタビュー

 ―2019年の需要をどう読みますか。
 「若干トーンダウンしながらも安定していくと見ている。米中貿易摩擦が起きても中国の需要は落ちていないし、米国も悪くなく、欧州も安定している」

 ―英国が3月末に予定する欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、同国に工場を持つだけにリスク要因になりますか。
 「準備はしている。MMA(メタクリル酸メチル)の英国工場から欧州へ供給できなくなったらサウジアラビアなどから出すなどの対策を打つ。ただ、実際にブレグジットすると、ポンド安になるので関税と打ち消し合って、ほとんど影響がないかもしれない」

 ―特に取り組みたいことは。
 「事業基盤をもっと強くしないといけない。健康経営とダイバーシティー(人材の多様性)・人事制度改革、IT・デジタルトランスフォーメーションを推進して、持続可能な発展を続けるための基盤を築き上げる」

 ―傘下の大陽日酸などが海外での積極的なM&A(合併・買収)で企業規模を拡大しています。今後のグループ経営のあり方をどう考えていますか。
 「国内外のグループ会社でガバナンス(統治)の仕組みを統一しなければならない。監査役の人数や内部統制など、経営システムの設計規定が十分ではなかった。また、内部統制システムマップをつくっていて、各社のシステムの現状が分かるようにする。オンラインの実データと設計基準によってグループ全体を統治する仕組みを今つくっている。米国と欧州、日本でそれぞれ異なるシステムでやられても困るからだ」

 ―大陽日酸や田辺三菱製薬との親子上場の問題も一部で指摘されています。
 「(18年末に米プラクスエアの欧州事業を買収した)大陽日酸のように海外の比率が高くなっていくと、少数株主の問題がクローズアップされる可能性はある。親子上場について今後どうあるべきかを検討している」

 【記者の目/グループ経営も強化必要】
 目下の課題は独立心が強い大陽日酸の手綱さばきと、事業環境の厳しい田辺三菱製薬の成長性にある。特に巨額買収を実行した大陽日酸はこれから未体験の統合プロセスに取り掛かる。連携を一層密にしてM&Aの成果を最大化しなければならない。19年は働き方改革などで事業基盤を強化するだけでなく、グループ経営の基盤固めの1年にもなりそうだ。

(文=鈴木岳志)

日刊工業新聞2019年1月10日掲載

  

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