JR東が見せた、自動列車運転装置の完成度

年末年始の終電後に山手線で走行試験を実施

 JR東日本は年末年始の終電後、山手線で自動列車運転装置(ATO)の走行試験を実施した。ATOは将来の労働力不足に備えて構想する“ドライバーレス自動運転”に必須の技術。地下鉄や新交通システムでの導入実績があるが、JR東は「より高性能なATOの開発」(深沢祐二社長)に取り組む。先々のドライバーレス化だけでなく、列車運行の高度化も狙いに、早期の実用化を目指している。

新型車両に搭載


 7日未明の走行試験を報道陣に公開した。ATOを試験搭載した最新型車両「E235系」で山手線を2周して、二つの走行パターンによる走行時分を計測。運転士は駅出発時に安全を確認して発車ボタンを押すだけで、走行中はハンドルを操作せず、自動で次の駅の定位置で停止した。

 試験車はあらかじめ設定された運転曲線に追従するよう、自動で加速と惰(だ)行を繰り返した。普段とは違って細かく加速しているのが分かったが、急な加速は少なく、乗り心地は気にならなかった。得永諭一郎執行役員は「より滑らかな運転ができるようにしたい」と課題を示す。

乗り心地向上


 ATOは線路への進入危険性が低い地下鉄や新交通システムが採用する運転保安システムだ。発車から停止までの一連の運転操作を自動で行う。信号速度を超えた場合にブレーキがかかる自動列車制御装置(ATC)と組み合わせて運用する。

 山手線ではホームドア運用開始時に、ATO機能のうち、駅到着時に決められた停止減速パターンに沿って自動でブレーキを制御する定位置停止装置(TASC)を導入済み。このため、ATCの速度制限下で柔軟に速度を可変させる運転機能を中心に開発が進む。

 JR東のATOは、列車運行の高度化を狙っており、線路や駅設備、法令上のハードルがあるドライバーレス化の実現を待たずに導入する方針だ。「ヒューマンエラーを防ぎ、安全性を向上できる」(得永執行役員)とメリットを追求。自動で走行パターンに従う運転は運転品質の平準化や乗り心地向上につながる可能性を秘める。

実用化へ一歩


 さらには路線全体の最適解で、各列車を運行する未来を構想し、運行管理システムとの連携を視野に入れる。ダイヤに余裕がある時は、省エネルギーに最適な走行パターンで運行。遅延発生時は、駅間で詰まらないように走行速度を調整する。乗客数に合わせて駅の停車時間を長く確保することもできそうだ。JR東は初の試験で「実用化への第一歩」(得永執行役員)を踏み出した。
(文=小林広幸)

日刊工業新聞2019年1月8日

  

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