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1971年以来のJR山手線新駅、5000億円プロジェクトの全体像が見えてきた

国際交流拠点「グローバルゲートウェイ品川」を構想
1971年以来のJR山手線新駅、5000億円プロジェクトの全体像が見えてきた

品川新駅の工事は進捗(しんちょく)率が約7割に達した(ホームと駅舎)

 JR東日本は29日、東京都港区で建設中の「(仮称)品川新駅」を報道公開した。東京五輪・パラリンピック開催前の2020年春暫定開業を念頭に、駅舎の構造く体は、ほぼ完成。工事の進捗(しんちょく)率は約7割に達した。新駅の開業後、駅前に広がる車両基地跡地では、大規模な街づくりに着手。24年の街びらきを目指し、世界中から企業や人材が集まる国際交流拠点「グローバルゲートウェイ品川」を構想している。

 新駅は、山手線と京浜東北線の品川駅(港区)―田町駅(同)間に位置する。山手線の新駅は1971年の西日暮里駅(荒川区)以来となる。名称は6万4000件の応募から年内に決める予定だ。

 木質と透光膜の屋根で醸し出す“和”を特徴とする駅舎。デザインを監修した隈研吾氏は「駅と街が一体となって、つながる」とコンセプトを説明した。

 20年に暫定開業するが当初の効果は限定的だ。想定乗降客は2万3000人と山手線で最少の鶯谷駅(台東区)と同程度。新駅は橋上駅で駅前広場は1階を自動車、2階を歩行者と動線を分離する。暫定開業時には駅前のデッキが完成。五輪期間中は広大な更地をパブリックビューイング会場として使う予定だ。

 山田真左和品川・大規模開発部担当部長は「品川再開発プロジェクトの核。新しいまちづくりにチャレンジする目玉だ」と力を込める。総事業費5000億円のビッグプロジェクト。街びらき後に新駅の乗降客は恵比寿駅(渋谷区)と同程度の13万人に跳ね上がる。

 都市計画手続きに入るのを前にして、プロジェクトの全体像も明確になってきた。車両基地跡地約9万5000平方メートルのうち、24年までに開発するのは新駅から田町駅側の4街区で約7万2000平方メートル。駅正面のツインタワーを筆頭に、オフィスや商業施設、住居機能を持つ170メートル級の複合ビル4棟を建設する。

 国際交流拠点の形成を掲げることから、国際水準の宿泊施設や居住施設を設定し、インターナショナルスクールも誘致する。ビジネス創造機能も充実させる構想で、MICEを念頭にしたコンベンションホールやカンファレンスルーム、モノづくりを支援するラボや展示室、コワーキングスペースの設置なども計画。低層で複合文化施設を構築する。

地域冷暖房の導入や近接する下水処理場と連携した熱利用、食品残さのバイオガス活用などエネルギー分野でも先進的な取り組みを検討中だ。
(文=小林広幸)
日刊工業新聞2018年8月30日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
JR東日本グループが取り組む新施策のショーケースとしても活用していく。 (日刊工業新聞社・小林広幸)

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