心筋細胞の表面電位を超柔軟センサーで測定、拍動を妨げず

東大などが開発

 東京大学の染谷隆夫教授と東京女子医科大学の清水達也教授らは、高い伸縮性と柔軟性を持つナノメッシュセンサーを開発し、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の心筋細胞シートの表面電位を計測することに成功した。心筋細胞シートが拍動する力の約10分の1で伸縮可能なため、拍動を妨げずに測定できる。新薬の心臓への副作用評価に活用が期待される。成果は1日、英科学誌のネイチャー・ナノテクノロジーで発表された。

 清水教授らは、多層からなる心筋シートを作製。これを生体物質の「フィブリン」でできたゲルの上に載せ、大きく拍動する心臓の動きを再現した心筋シートを作った。

 さらに染谷教授らは、ポリウレタンのナノファイバー(極細繊維)からできた数層からなる薄さ約1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のセンサーを開発。心筋シートから生じる弱い力で伸縮し、また透過性に優れているため、センサー上から投薬して試験が可能になった。実際にセンサーを取り付けて心筋シートの伸縮率を調べると、何も付けられていない心筋シートと同じ程度伸縮していた。また4日間連続の長期間計測が可能で、薬剤の評価に十分な耐久性を持っていた。

 これまでは培養皿の内側に固定された電極で心筋シートの表面電位を計測していた。この手法では心筋シートの動きは制限されており、実際の心臓の状態に近い環境で計測する手法の開発が求められていた。

日刊工業新聞2019年1月1日

  

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