「血圧の薬は一生やめられない?」は本当か
まず降圧薬でコントロール、根気をもって生活改善を
「血圧を下げる薬(降圧薬)を飲み始めると、一生飲み続けるのでしょうか。それなら飲み始めるのは、できるだけ延ばしたい」と心配する人がいます。降圧薬を飲む目的は、血圧を下げることのみではなく、将来高血圧から2次的に発症する心臓や血管の病気を起こりにくくすることです。
つまり薬の意味合いは、心臓血管病になり命を失ったり、生活の制限や治療費増しで生活の負担になることを避けるため、という大きな効果をもたらすことを知らなくてはならないのです。
高血圧は、体質やいくつかの遺伝的素因から起こる本態性高血圧と呼ばれるものがほとんどです。残念ながら、体質や遺伝的素因については現状で治す方法はありませんが、血圧が上がってしまう原因には、いろいろな生活習慣上の因子が重なっていることを忘れてはいけません。そして、これらの因子は自らの意志をもって改善することができます。
血圧上昇の一番大きい要因は食塩の過量摂取です。1日の目標は6グラムといわれています。日本人は以前に比べ摂取が減少してきていますが、いまだ10グラム以下になっていません。
ラーメンをスープまで全部飲み干すと10グラムを超えます。和食はヘルシーな印象を持ちますが、みそ汁や漬物、梅干し、魚の開きなどは、総じて塩分が高いので注意が必要です。もちろん、塩分濃度が低い食品に変えてもその分たくさん食べれば同じことです。
次の要因は肥満です。肥満になると、身体の面積が広がったことになり、心臓は身体の隅々まで血液を行き渡らせようと、より高い圧力を出す必要が出てきます。
塩分を減らし、適正体重の維持に努めることが大事です。もちろん他にもストレス、寝不足など血圧を上げる要因はいくつかありますが、まずは生活習慣の改善による、血圧のコントロールをお勧めします。
薬の減量は、血圧が徐々に下がれば可能になります。単身赴任で外食ばかりしていた人が自宅からの通勤に変わり、奥さまの手料理中心の食生活になって体重も減ったことで、薬を3剤飲んでいたのが2剤になり、最終的には1剤で良好な血圧コントロールが得られるようになった例もあります。
生活習慣の改善による血圧のコントロールは、薬剤に比べて時間がかかり難しいので、まず降圧薬による血圧のコントロールをしっかり行った上で、諦めず根気をもって生活の改善を続けてください。薬の調整については、かかりつけの医師と相談しながら行うようにしましょう。
(文=岩原信一郎・南町田病院院長)
つまり薬の意味合いは、心臓血管病になり命を失ったり、生活の制限や治療費増しで生活の負担になることを避けるため、という大きな効果をもたらすことを知らなくてはならないのです。
高血圧は、体質やいくつかの遺伝的素因から起こる本態性高血圧と呼ばれるものがほとんどです。残念ながら、体質や遺伝的素因については現状で治す方法はありませんが、血圧が上がってしまう原因には、いろいろな生活習慣上の因子が重なっていることを忘れてはいけません。そして、これらの因子は自らの意志をもって改善することができます。
血圧上昇の一番大きい要因は食塩の過量摂取です。1日の目標は6グラムといわれています。日本人は以前に比べ摂取が減少してきていますが、いまだ10グラム以下になっていません。
ラーメンをスープまで全部飲み干すと10グラムを超えます。和食はヘルシーな印象を持ちますが、みそ汁や漬物、梅干し、魚の開きなどは、総じて塩分が高いので注意が必要です。もちろん、塩分濃度が低い食品に変えてもその分たくさん食べれば同じことです。
次の要因は肥満です。肥満になると、身体の面積が広がったことになり、心臓は身体の隅々まで血液を行き渡らせようと、より高い圧力を出す必要が出てきます。
塩分を減らし、適正体重の維持に努めることが大事です。もちろん他にもストレス、寝不足など血圧を上げる要因はいくつかありますが、まずは生活習慣の改善による、血圧のコントロールをお勧めします。
薬の減量は、血圧が徐々に下がれば可能になります。単身赴任で外食ばかりしていた人が自宅からの通勤に変わり、奥さまの手料理中心の食生活になって体重も減ったことで、薬を3剤飲んでいたのが2剤になり、最終的には1剤で良好な血圧コントロールが得られるようになった例もあります。
生活習慣の改善による血圧のコントロールは、薬剤に比べて時間がかかり難しいので、まず降圧薬による血圧のコントロールをしっかり行った上で、諦めず根気をもって生活の改善を続けてください。薬の調整については、かかりつけの医師と相談しながら行うようにしましょう。
(文=岩原信一郎・南町田病院院長)
日刊工業新聞2016年1月8日