ようやく誕生『アルプスアルパイン』、CASE変革乗り切れるか

カギは社員の一体感

 アルプス電気とアルパインが株式交換により経営統合し、2019年1月1日付で新会社が誕生する。アルプス電気がアルパインを完全子会社化した上で、アルプス電気が社名を「アルプスアルパイン」に変更し、事業持ち株会社体制に移行する。カンパニー制を導入し、社内に電子部品事業と車載情報機器事業の二つの事業を連ねる。CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)分野など車載領域を中心に、意思決定の迅速化を図る。

 「運命共同体となって競争に勝ち抜く」(栗山年弘アルプス電気社長)。今回の経営統合は、急速な市場変化に対応するためアルプス電気とアルパインが一体となり、意思決定やCASE領域での新製品創出などを素早く行っていかなければいけないという強い危機感があったからだ。

 だが経営統合をめぐっては、アルパインの株を約1割持つ香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーがアルパイン株との株式交換比率に対し異議を唱えたため難航。今月5日に開催されたアルパインの臨時株主総会で会社提案が可決され、ようやく株式交換契約が承認された。栗山社長は「株主との対話は続けてきた。大多数の株主は持続的企業価値・株主価値の成長を期待している」との認識を示した。

 両社は7月に包括的な業務提携を締結し、先行して共同開発を推進している。その成果として、19年1月開催の家電・IT見本市「CES」に新会社としてCASE向け高機能ソリューションを出展する。アルプス電気のコアデバイス技術とアルパインの持つソフトウエア技術開発力を組み合わせたもので“法人の壁”を取り払ったカンパニー制の新会社で今後も高付加価値製品を創出していく。

 CASE領域に限らず、アルプス電気にとっての車載関連での経営統合による相乗効果は、ハードウエアとソフトウエアを融合した機能デバイスの強化にある。アルパインの米谷信彦社長も「我々の得意分野であるソフトウエアの開発にこれまで以上にリソースを割くことができる」と期待する。

 アルパインはもともとカーナビゲーションシステムなど車載機器用のソフトウエア開発に強みがある。今後CASEと呼ぶ自動車産業の新潮流に対応するには車載機器などハードウエアそのものの性能に加え、「ユーザーにとっていかに利便性の高いアプリケーションソフトウエアを提供できるかが差別化のポイントになる」(米谷社長)。

 大変革期を迎えた自動車関連産業で競争に打ち勝つには、何よりもまずは社員の一体感が求められる。

(文=山谷逸平、下氏香菜子)

 

日刊工業新聞2018年12月25日掲載

梶原 洵子

梶原 洵子
12月25日
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2018年は、クラリオンも、パイオニアも、カーナビメーカーの再編が相次ぎました。一番初めにアナウンスされたアルプス電気とアルパインがようやく落ち着きました。

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