ようやく誕生も、ニコニコできない「出光昭和シェル」の事情

燃料油市場は激変、安売り競争に突入?

 創業家の反対で膠着(こうちゃく)状態にあった出光興産と昭和シェル石油の経営統合が、ようやく実現する運びとなった。出光は7月上旬、創業家の資産管理会社で筆頭株主となっている日章興産(東京都港区)と、昭シェルとの経営統合に関する合意書を締結。それを踏まえ、出光と昭シェルが合意書を締結した。当初の計画から2年遅れて2019年4月、統合新会社「出光昭和シェル」が誕生する。

 両社は15年11月に経営統合で基本合意し、17年4月の実現を目指した。だが、昭シェルにはサウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコが大株主として名を連ねており、企業風土の違いや経営統合の方法を巡って創業家との話し合いがこじれた。16年10月には、合併の無期限延期を発表する事態にまで追い込まれていた。

 創業家の姿勢を軟化させたのは、石油業界を取り巻く事業環境の変化。元売り各社が主力とする国内燃料油市場は自動車市場の成熟に加え、省燃費のハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)をはじめとするエコカーの普及で縮小し続けており、人口減少社会を迎えてさらに右肩下がりの傾向が目立つ。

 元売り各社のブランドを掲げてガソリンや軽油を販売する給油所の数は94年のピーク時に比べて半減し、約3万1000店。ここ数年は年率2―3%の販売数量減が続いている状況だ。両社の計画を追い越す格好で17年4月、旧JXホールディングス(HD)と旧東燃ゼネラル石油が統合して、国内燃料油市場で過半のシェアを握るJXTGHDが誕生したことも背景となった。系列給油所が掲げるブランドは当面併用されるが、出光昭和シェルのシェアは30%強になり、JXTGHDを追撃する態勢が整う。

 上位2社で国内燃料油市場の8割以上のシェアを占めるようになり、業界では「かつてのような過当競争(安売り)が再燃し、マージンが大きく崩れる状況は想像しにくい」という見方が大勢だ。
(文=青柳一弘)

日刊工業新聞2018年12月18日

  

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