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旭化成の小型CO2センサーが車載需要に適しているワケ

21年度めど量産、運転者の眠気防止にも
旭化成の小型CO2センサーが車載需要に適しているワケ

開発したCO2センサー。車メーカーなどに採用を働きかける

 旭化成は二酸化炭素(CO2)センサー事業で車載用途を開拓する。2018年に買収したスウェーデンのガスセンサーモジュールメーカーで数カ月以内に車載部品の国際規格を取得する。車内のCO2濃度に応じて換気システムを効率化すると燃費改善につながるほか、運転者の眠気防止にも効果が期待できる。自動車メーカーなどに採用を働きかけ、21年度までに車載用CO2センサーの量産を目指す。

 傘下の旭化成エレクトロニクス(東京都千代田区)がスウェーデンのセンスエアー(デルスボ市)を買収した。今回、センスエアーのモジュール技術と旭化成の強みである化合物半導体技術を組み合わせて、世界最小級のCO2センサーを開発した。

 同センサーの外形寸法は33・9ミリ×19・8ミリ×12・3ミリメートル。高効率な赤外線発光ダイオード(IR―LED)などを使い、平均消費電流を150マイクロアンぺア以下に抑えた。小型で低消費電力という特徴は車載用途に適している。

 センスエアーの製品は従来、ビルの空調管理などに多く利用されてきた。居室のCO2濃度を管理することで、換気システムを最適化して省エネルギーや空気の質向上に役立つという。

 ただ、自動車に搭載するには専用の国際規格が必要で、センスエアーは取得作業を急ぐ。車載用途としては車内換気以外に、エアコンの冷媒漏れ検知への展開も期待する。欧州で車載エアコンにCO2冷媒を採用する流れがあり、新たな需要を見込む。

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日刊工業新聞2018年12月19日

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