働き方改革道半ばの医療機関を狙え、OA各社が提案強化

ICTで業務改善

 事務機器(OA)各社が情報通信技術(ICT)を活用した医療分野の業務改善のサービスに力を入れている。富士ゼロックスは病院向けに電子ペンを活用して業務効率化につながるサービスを開発。リコージャパンもクリニック向けに業務改善の取り組みを始めた。医療機関ではIT導入が進んだとはいえ、働き方の改革までは道半ば。各社はこれを商機にサービス提案を強化する。

 富士ゼロックスは訪問診療向けに電子ペンを開発した。従来は紙媒体に記入後、電子カルテ化するために複合機でのスキャンのほか、米マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」を使った集計作業などを行っていたが、それらを不要とした。さらにはバーコードリーダーと接続するA4カラー複合機も開発し、問診票など書類のスキャンに付随する事務作業を効率化できるという。

 同社は富士フイルムグループでの連携も進める。医療現場で発生する紙・電子媒体の診療記録を管理する「診療記録総合管理ソリューション」を、富士フイルムの画像処理技術などと連携。診療帳票の作成からカルテ情報や検査画像などを一体で管理・把握できる診療情報のプラットフォーム化にも着手した。

 リコージャパンはクリニックの業務改善を包括的に支援するサービスを始めた。クリニックは地域包括医療を見据えた場合の中核機能の一つ。そこで経営、業務改善、環境整備の四つの課題を軸に、クリニックの状況に応じたサービスを提案。必要に応じて外部企業が持つサービスなども提案するという。

 OKIはソラスト(東京都港区)と連携し、初診受け付けにかかる一連の業務を効率化するシステムを開発し、10カ所の病院で本格的に稼働した。患者自身がスキャナーで保険証を読み込み、タブレットで診療申し込みをするだけで、受け付けに要する待ち時間を改善できるという。

 医療機関では電子カルテシステムの導入を機に、大規模病院を中心にIT化が進んだ。OA各社も当初はプリンターなどハード機器の機能を強化し事業を展開してきたが、近年は医療機関も医師の長時間労働の問題をはじめ、働き方改革が課題になっている。

 これに伴い、各社はハード機器に加え、文書管理の効率化など病院内の業務改善につながるサービスに提案の幅を広げていく。その先には地域包括ケアを見据え、コミュニケーションツールの活用も見込む。成長市場と位置付ける医療分野で、各社のサービス開発が熱を帯びそうだ。
(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2018年12月18日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
12月19日
この記事のファシリテーター

                        

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。