低収益から抜け出せ!キリンビバが捨てた「箱数主義」

全方位改め3ブランド強化

 「2018年度までの中期経営計画の最終目標を17年度までに前倒して達成してしまった」。キリンホールディングスの飲料事業を手がけるキリンビバレッジ社長の堀口英樹の口調は晴れやかだ。

 現中計で低収益事業のレッテルを貼られ、構造改革が軌道に乗らなければグループのポートフォリオから外れる可能性もあった。15年度の営業利益率は1・5%。これを3%以上に引き上げるため、堀口は「利益と成長の両方を追う」方針を掲げた。

 08年のリーマン・ショックから14年くらいまで消費が低迷、清涼飲料市場は価格競争に陥ったという。この戦いはボリュームの大きい企業が有利となり、シェア5位のキリンビバレッジは苦戦を強いられた。さらに「箱数主義」が足を引っ張った。価格競争の中で箱数を合わせていても利益にならない。15年度は箱数は伸びているのに利益は低迷した。

 「とにかく社内のベクトルを合わせよう」。堀口は決断した。利益と成長の両方を追うため、ブランドの強化と収益の確立をテーマに掲げた。

 ブランドでは全方位で取り組むのをやめ、維持するブランドのポートフォリオをつくる。そして「生茶」「午後の紅茶」「ファイア」の3ブランドの強化が決まった。

 収益の確立はサプライチェーンマネジメント(SCM)コストを減らす。商品数が多く最小管理単位(SKU)は210に上っていたが、この大幅な削減に着手し、17年には142に減らした。また、販促用が多い大型ペットボトル商品を抑制し、小型商品に注力。廃棄費用や物流費を大きく削減できた。

 16年度の営業利益率は4・9%と中計目標をクリア。17年度は7・6%(事業利益率)に達し、低収益から脱した。中計を前倒しで達成し、グループ内で先行して21年度への新中計を発表。事業利益率10%を目指す。

 「飲料業界の海外プレーヤーは経営の一つのハードルが(事業利益率)10%だ。2ケタの利益にこだわる」と堀口は思いを込める。このため消費者の健康意識を踏まえブランドに健康領域を付加・強化していく戦略だ。
(文=敬称略)

日刊工業新聞2018年12月13日

  

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