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キリンはどうやって飲料からカフェインを取り除いたのか

天然吸着剤の酵素に似た働きを活用、機能成分はそのままに
キリンはどうやって飲料からカフェインを取り除いたのか

カフェインクリア製法を用いたキリンビバレッジの商品

 キリングループの中核会社、キリン(東京都中野区、磯崎功典社長)の飲料技術研究所が開発した「カフェインクリア製法」が、全国清涼飲料工業会の2016年日本清涼飲料研究会で工業会賞を受賞した。緑茶や紅茶に含まれるカフェインを除去しつつ、味や香りなどは維持する独自技術。キリンビバレッジの「やさしさ生茶カフェインゼロ」や「午後の紅茶」こだわり素材シリーズに採用され、女性層を中心に支持を拡大している。同研究所の塩野貴史主任研究員日本茶インストラクター・リーダーに同製法の特徴を聞いた。

 ―一般的なカフェイン除去方法とは、どこが違うのですか。
 「茶葉からカフェインを抜く従来方法は(1)熱湯で溶出させる(2)有機溶剤を使う(3)二酸化炭素(CO2)を超臨界状態にして溶出する―の三つ。いずれもカフェインと一緒にうまみの成分も溶け出してしまうため、味が落ちる。茶の機能成分であるカテキンの働きも失われる」

 「カフェインクリア製法は、食品に使われてきた天然吸着剤の酵素に似た働きを用いることで風味や香り、カテキンやポリフェノールなどの機能成分は変えずに、カフェインだけを選択除去することに成功した」

 ―妊婦などの女性や高齢者は、カフェインを気にする人が多い。
 「出産後も女性は子どもへの影響を気にして、カフェイン飲料を控えることが多い。茶飲料はカテキンやポリフェノールが多いため、飲みたいものの、カフェインがあることがネックになっている。男性や高齢者も就寝前、リラックスして飲みたいと思っても同じ理由で飲めない。新技術で飲料市場を広げられる」

 ―市場の可能性は。
 「カフェインを気にする人は2―3割いる一方、カフェインレス緑茶や紅茶があることを知っている人は1%足らずだ。PRすればさらに市場を拡大できる」
(聞き手=嶋田歩)
日刊工業新聞2016年12月9日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
日本の飲料メーカーの技術、品質は世界でもトップだと思う。個人的にはブレンド茶好きなので、某社の商品を愛飲しているのだが・・

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