幻の航空兵器(下)国産初のロケットエンジン搭載機「秋水」
戦時下の企業
戦前・戦中の航空機産業では、企業はまさに軍とともにあった。毎年の予算でどんどん新型機計画を出す陸海軍、それに応えるべく必死に機体を開発するメーカーの関係性は、まさに運命共同体だった。軍は、これら以外にもエンジン6基を搭載する超大型爆撃機「富嶽」(ふがく)や、上空からロケット推進で加速した後、滑空状態で敵機に体当たりする特別攻撃機「桜花」、米本土まで実際に到達した風船爆弾などの航空兵器も開発していた。
戦前・戦中に数々の航空機開発に携わった技術者の中には、終戦後に自動車や鉄道(新幹線)といった分野に転じ、戦後復興のために身を捧げた人も多い。これが、1960年代の国産旅客機「YS―11」や、現代の国産小型旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」にも脈々と受け継がれている。
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