大阪万博開催への難題、開催地“夢洲”へのアクセス確保どうする?

IR構築が採算性の前提条件

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大阪万博が決まり、万歳三唱をする誘致関係者ら
 2025年の国際博覧会(万博)開催が大阪市に決まった。準備期間の約6年間で、会場となる此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)へのアクセス確保は大きな課題だ。輸送の主力には、多頻度で大量輸送に優れた鉄道が期待される。だが、万博を開催する6カ月間の臨時運行では採算がとれない。夢洲で将来にわたって安定的な鉄道輸送需要が見込めなければ負の遺産となってしまう。

 予定地の夢洲は臨海物流拠点であり、旅客需要はほとんどないのが現状だ。24年度の開業を目指し、大阪市などの出資する第三セクターが、北港テクノポート線・コスモスクエア―夢洲間約3キロメートルの建設を計画。市内を東西に結ぶ大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の地下鉄・中央線が乗り入れる。延伸や輸送力強化策で鉄道整備費は16年度時点の試算で640億円を見込む。

 地下鉄延伸も、恒常的な輸送需要が見込める、会場隣接地に誘致中のIR(統合型リゾート)構築が採算性の前提条件だ。IRは24年の第1期開業を目指すが、カジノの賛否に議論が集まり、国による設置自治体の選定プロセスが遅れている。

 会議や展示会といったコンベンション機能も備えるIRには、万博との有機的な連携が期待できる。数万人規模の居住や滞在を創出するためにも、海外IR運営企業幹部は「複数の鉄道アクセスが必須だ」と指摘する。

 万博会期中の輸送力だけみても鉄道が1路線では不安が残る。17年2月に経済産業省の検討会で示された資料では、中央線を運転間隔3分、乗車率199%で最大活用しても、バス不足が懸念され、アクセス道路2ルートに深刻な渋滞が発生する可能性を予測。多様なアクセス手段の検討が必要だとした。

 夢洲へのアクセス鉄道は南側からの地下鉄に加え、JR西日本が北側から桜島線の延伸を構想するが、25年までの開業は難しい状況だ。実現すれば沿線の大型テーマパーク「ユニバーサルスタジオ」と連携が見込め、大阪環状線と線路がつながることから、大阪や建設中のうめきた新駅、新大阪、京都と直通運転が可能となる。

 来島達夫JR西社長は「万博だけでなく、IRが実現して長期的な需要可能性を見極められれば(延伸を)実施する」と慎重な姿勢を崩さない。事業費は約1700億円と試算されるが、海底トンネルの工事に「相当な年月がかかる」(来島社長)との見通しだ。

 会場へのアクセスだけでなく、会期中の宿泊を受け入れる近畿2府4県の広域ネットワークへの配慮も欠かせない。関西私鉄各社はかねて万博が決まれば「何か考えなければならない」(阪急阪神ホールディングス首脳)としており、具体化に取り組むと見られる。

 中でも京阪電気鉄道は、中之島線を終点の中之島から地下鉄・中央線に接続する九条まで延伸する計画を打ち出す。夢洲から京都への輸送を狙い「(万博までに)ぜひとも間に合わせたい」(京阪ホールディングス首脳)と実現に前のめりだ。

 

(文=小林広幸)

日刊工業新聞2018年11月27日

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