東レが開発する“遮炎素材”の実力

家具・寝具など用途開拓

 東レは、高い難燃性と長時間炎を遮る「遮炎性」を兼ね備えた生地「ガルフェン」の用途開発を強化している。現在、高い難燃性を要求する航空機のシート内張材への採用を目指して提案中。採用実績を増やし、将来的に同生地の販売を年間20万平方メートル程度に増やしたい考えだ。

 ガルフェンは、東レが2015年に開発した。ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維と、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料とする耐炎化糸で構成され、用途に応じて厚さ0・06ミリ―2・49ミリメートルの不織布や織物などから選べる。

 炎を近づけると、285度C以上でPPS繊維が溶け、耐炎化糸を覆う形で膜化する。膜化により酸素を遮断した状態で耐炎化糸が加熱されると、吸熱しながら炭化し、強固な骨材になる。膜化したPPSも炭化し、炭化膜で炎を遮る。同社の試験では900度Cで加熱し、5分以上炎を遮り続けられた。

 航空機以外の用途も開拓する。松下達不織布事業部長は「欧米では業務用家具・寝具に対し、一定の難燃規格があるが、日本には一部カーテンなどに防炎製品があるのみで明確な規格がない」と指摘。

 ガルフェンは、欧米などで使われている遮炎素材に比べ、薄くても高い遮炎性能があるため、欧米のオフィスで使用される椅子の内張材などに使い「仕上がりが分厚くならず、軽快感のある椅子にできる」(松下部長)といったデザイン面からも提案し、拡販する考えだ。

 まずは明確な難燃基準をもつ欧米で、展示会や同社現地拠点を通じて拡販を目指す。松下部長は航空機やオフィス用家具などへの採用実績や評価を増やし、「日本でも新たな概念として“遮炎”素材を提案したい」と意気込む。
(文=大原佑美子)

日刊工業新聞2018年11月23日

  

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