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オフィスから始める“働き方改革”、日産化学が参考にしたのは若手社員の意見だった

新本社で生産性の向上と交流活性化を目指す
オフィスから始める“働き方改革”、日産化学が参考にしたのは若手社員の意見だった

日産化学の新本社はコミュニケーション活性化を目指し、執務フロアを一体化

 日産化学は本社を7月に移転し、本社の執務スペースを集約した。役員も含め全社員が一つのフロアに集まったことで、事業部間や上司・部下間の交流が活性化したという。働きやすい環境作りに向け、中心となったのは若手社員の意見だった。

書類の8割廃棄


 新本社は日本橋高島屋三井ビルディング(東京都中央区)の18階、19階で、応接室と会議室以外は19階に集約した。

 移転前にあった書類の8割を廃棄。会計伝票などは電子化し、移転前に31台あったプリンター複合機は7台に減らすといった効率化を図った。

フリーアドレス


 移転にあたり特に意識したのが、コミュニケーションの活性化だ。事業部の上長の席は、窓際から一般社員の中に移した。社内にいないことも多い営業部などでは、座席を特定しないフリーアドレスを導入した。一方で「集中して資料を仕上げたい」といった社員向けの個室も新設。知的生産性の向上も目指した。

 東京・神田錦町にあった旧本社は1970年から入居しており、災害時の事業継続計画(BCP)にリスクを抱えていた。「現役社員は今の本社しか知らない」(宮崎純一副社長)環境下、移転の検討にあたり、他社のオフィスを視察したという。

 工場や研究所も含め、さまざまな部署の若手45人が参加する本社移転プロジェクトを2015年9月に発足。「働きやすく高い生産性を発揮できるオフィス」「コミュニケーション活性化に向けた仕掛け作り」などのテーマで話し合った。プロジェクトの中心となった財務部の担当者は「不満をなくすだけでなく、知恵を出すことに注力した」と振り返る。

変化に一手


 一方でほぼ同時期に経営企画や人事、財務部の担当役員は入居ビルの選定を開始。「東京メトロ東西線の利用者が多い」「千葉県内の工場や寮からも行きやすい」「新幹線で移動しやすい」といった点を考慮し、東京メトロ日本橋駅やJR東京駅などに近い、日本橋高島屋三井ビルディングを選んだ。

 「社員にアンケートを取り、さらに改善したい」と宮崎副社長は語る。同社は7月に社名も「日産化学工業」から日産化学に変更した。工業の枠にとらわれずに事業展開する表れだ。変化に向け、着々と手を打っている。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2018年11月21日

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