村田製作所の出前授業は“背中”を見せて子供心をつかむ

開催数は年間約100回、受講者が入社するケースも

  • 0
  • 1
自転車型ロボットの「ムラタセイサク君」を通じて科学に関心を持ってもらう
 子どもたちの視線を一身に浴びる、自転車を操る小型ロボット。村田製作所が手がける電子部品やセンサー技術でつくった「ムラタセイサク君」だ。同社は2006年から、国内外の小中学校を中心に出前授業を展開。セイサク君や一輪車型ロボットの「ムラタセイコちゃん」が大活躍する。宮本隆二上席執行役員企画管理本部副本部長に、10年以上続けてきた活動ならではの成果を聞いた。

―そもそもなぜ出前授業を始めようと考えたのですか。

「ちょうど06年に掲げた社長方針が『青少年の理科離れ防止』。当社として、若い人にどのようにして科学に興味を持ってもらうかを考えた。そこで、05年に完成したセイサク君を使ったデモンストレーションを始めた。分かりやすい見た目は好評で『ウチにも来てくれ』という声が多数集まり、出前授業につながった」

―授業内容のミソは。

「背中を見せることだ。今の子どもたちは完成品に囲まれて育ち、製品内部を知らない。授業ではロボットの背中を見せて、中身を子どもたちに知ってもらう。小さな部品で構成されていることに驚きの声があがる」

―年間、何回ぐらい開くのですか。

「現在は、年間約100回開催し、児童・生徒約8000人が受講している。実は既にその中から、グループ会社を含めて、数人が当社に入社している」

―セイサク君たちの活動が及ぼす効果をどのように見ていますか。

「社員への影響も大きい。当初は村田製作所の技術力をアピールするつもりだった。今では教育、地域、顧客へと利害関係者(ステークホルダー)全体に活動範囲が広がり、結果的にCSR(企業の社会的責任)的な働きとなっている。子どもたちからの手紙や顧客からの反応を見て、社員も『良い会社に勤めているんだ』と感じられる」

―今後のCSR活動の方向は。

「5年前と比較して売上高は倍近く成長し、その分、社会的責任も重くなっている。事業を通じた“ムラタらしさ”で応えていきたい」
(聞き手=京都・日下宗大)

日刊工業新聞2018年11月16日

関連する記事はこちら

特集