AIの導入状況を調査、監視プロセスの課題が明るみに

“導入効果が薄い”企業では倫理研修の実施率が5割に届かず

 人工知能(AI)が人々の暮らしに大きな影響を与えている中で、AIの利用に関する倫理的なフレームワーク構築が企業に求められている。SAS、アクセンチュア、インテル、フォーブス・インサイツの調査によると、AIを導入している企業(調査対象の72%)のうち、70%が技術者向けの倫理研修を実施し、63%がAIの利用状況を評価する倫理委員会を設置していることが分かった。一方、AI技術が進歩する中で、監視プロセスの構築が大きく後れをとっていることも明らかとなった。

予測精度向上


 調査は日本(22人)を含む世界のビジネスリーダー305人を対象に7月に実施。調査対象の97%は従業員1000人以上の企業。

 自社のAI導入について、AI先進企業の92%が「技術者向けの倫理研修を実施している」と回答した一方、AI導入の効果が出ていない企業では倫理研修の実施は48%だった。AIを導入している企業の44%が「AIの導入は間違いなく成功であった」としている。主な効果として、予測や意思決定の精度向上、顧客の獲得率向上、生産性向上などを挙げた。AIを導入している企業の46%が「複数の業務で全面的にAIを導入している」という。

 上級役職者以外の回答者では、AIの影響を前向きに捉える傾向がみられた。自社のAIの取り組みについては上級役職者以外の回答者の55%が「成功している」「大いに成功している」と回答した一方、上級役職者では38%にとどまった。

戦略業務に集中


 AI導入のメリットについても調査した。企業の62%は従業員が単純作業ではなく、より戦略的な業務に集中できるようになるという理由から、導入効果が「表れている」または「非常に表れている」と回答した。

 一方、AI導入の課題では、調査した企業の約20%が「雇用が脅かされるという理由で、従業員の間に反対意見がある」と回答。また、従業員が脅威を感じたり、ストレスを受けたりするなど、従業員との関係に影響が生じる懸念について、57%が「懸念を感じている」「強く懸念を感じている」としている。

 AI活用の監視については、AI先進企業の74%が「AIが生み出した成果を最低でも週に1回評価して、注意深く監視している」と回答。AI導入の効果が出ていない企業では監視は33%だった。また、AI先進企業の43%が「評価時に疑わしいと判断された結果を補完もしくは無効化するプロセスが社内に存在する」とする一方、AI導入の効果が出ていない企業では28%だった。

日刊工業新聞2018年11月6日

  

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