資産運用100兆円へ、MUFGの買収戦略が始動した

豪社、約3280億円で買収

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ信託銀行は10月31日、豪州の銀行最大手、コモンウェルス銀行の資産運用会社9社(CFSGAM)を約3280億円で買収すると発表した。国内金融機関による海外資産運用会社の買収では過去最大規模という。国内の超低金利が長期化する中、成長性の高い海外の資産運用事業を強化する。MUFGが注力事業に掲げる資産運用の買収戦略が始動した。

 買収はCFSGAMの持ち株会社から全株式を取得し、2019年半ばに完了する計画。買収資金はMUFGの手元資金を充当する。MUFGの資産運用は三菱UFJ信託銀を中心に展開しており、足元の資産運用残高は約73兆円。買収で約17兆円を上積みし、残高は90兆円規模に拡大する。アジア・オセアニア地域では、三井住友トラスト・ホールディングス(HD)や日本生命保険を抜いて首位に立ち、世界でも30位以内を確保できる模様だ。

 CFSGAMは豪州をベースに、英国、米国、香港やシンガポールなどに主要拠点を構える。アジア株や新興国株、不動産・インフラ投資など成長性の高い運用商品に強い。三菱UFJ信託銀とは「商品や顧客の重複が少なく、MUFGの収益源の多様化に貢献できる」(川上豊三菱UFJ信託銀執行役員海外アセットマネジメント事業部長)とする。買収により、MUFGの事業本部全体の粗利益に占める受託財産事業本部の割合は、5%から7%に高まる。

 MUFGは4月に三菱UFJ信託銀の法人融資業務を三菱UFJ銀行に移管。三菱UFJ信託銀は融資業務から事実上手を引き、資産運用事業などに軸足を移した。同事業にかかる規制や販売コスト増などへの対応、収益性や競争力を維持するには一定の規模確保が不可欠。川上執行役員は「資産運用残高は100兆円規模が一つの目安となる。今回の買収はその重要な一歩となる」と強調した。

 資産運用事業をめぐっては、三井住友フィナンシャルグループや大和証券グループ本社などが傘下の資産運用会社を19年4月に統合するほか、三井住友トラストHDがグループ内再編を実施、日本生命は昨年末に米TCWグループに550億円出資した。規模拡大や海外事業の拡大に向けた動きが活発化している。MUFGは運用残高で世界15位以内を射程に収めており次の一手が注目される。

 

(文=長塚崇寛)

日刊工業新聞社2018年11月1日

  

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