業績に甚大な影響の可能性も…設備トラブル相次ぐ鉄鋼

対策・改善に奔走も道半ば

 鉄鋼各社が擁する設備のトラブルや事故が後を絶たない。JFEスチール西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の高炉1基が設備トラブルで10月23日から稼働を停止しているほか、神戸製鋼所の加古川製鉄所(兵庫県加古川市)でも焼結炉などの故障が立て続けに起きた。いずれも生産に大きな影響が出ており、国内外とも堅調に推移する鉄鋼需要の多くを取りこぼすことになりかねない。

 JFEスチールの西日本製鉄所倉敷地区では、高炉3基のうちトラブルが起きた1基を現在も休止し、原因を調べている。稼働再開は11月中旬、全面復旧は12月下旬になる見通し。同社はこのトラブルで2018年度の生産量が、粗鋼ベースで40万トン下押しされると予想。西日本豪雨などの災害による影響もあり、同年度の粗鋼生産量は単体で2800万トン程度と、前年度の2846万トンを下回ると予想している。

 神鋼の加古川製鉄所では焼結設備の送風機が7月に故障したのに続き、9月には所内の変電設備が故障したことから一部の施設で停電が起き、コークス炉の休止を余儀なくされた。いずれも復旧したものの、生産量の落ち込みで18年4―9月期の連結経常利益が100億円下ぶれした。

 17年にも新日鉄住金やJFEスチールの設備でトラブルや事故が相次いだ。背景として設備の老朽化や技能者の世代交代を指摘する声もある。各社は設備の改善に向けた投資や、故障を予見するためのビッグデータ(大量データ)解析などに取り組んできた。だがJFEスチールを傘下に置くJFEホールディングス(HD)の岡田伸一副社長は「製造基盤の強化に向けた設備の改善は、まだ道半ばだ」と振り返る。

 人口減少などに伴う鉄鋼需要の先細りをにらみ、製造設備の集約を進めたことから、各社の生産余力は乏しくなった。こうした中でトラブルや事故が続けば、業績に甚大な影響が及びかねない。

  

(文=宇田川智大)

日刊工業新聞2018年11月1日

  

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