日本郵船が次世代ブリッジで実現する航海士の“働き方改革”
自動運航化への進化の基盤に
日本郵船は24日、情報統合型の次世代船橋(ブリッジ)を搭載した自動車専用船「モノセロスリーダー」を公開した。デジタル技術を用いて安全運航を実現するために、航海士の正確な認知や判断を支援する環境の充実を図った。目に見える違いは飛行機や車両のコックピットのように、各種計器の前に、いすが置かれたことだ。航海士の勤務スタイルは“立ち仕事”から“座り仕事”へと大きく変化する。
次世代ブリッジは人間工学に基づき、レイアウトや計器配置、デザインを最適化した。窓の大型化や、支障となる構造物がなくなったことなどで「従来に比べて見通しが良くなった」(ピーター・デリマ船長)と、使い勝手に太鼓判を押す。
これまで航海士はブリッジ内を歩き回りながらレーダーや海図などの情報を収集し、立って操船していた。新ブリッジでは、航海情報の確認や操舵(そうだ)を目の前の操作卓に集約し、着座した状態で適切な判断を迅速に下せる。
航海士は甲板手とともに4時間交代の3シフト制で、操船や見張りを担当する。海難事故の多くは人的ミスが原因で、背景には疲労や体調不良による集中力欠如がある。着座式の採用は負担軽減で航海士の“働き方改革”につながりそうだ。
新ブリッジは、これから自動運航技術を取り込んで、船が進化していく基盤にもなる。船舶は自動船舶識別装置(AIS)や電子海図(ECDIS)でデジタル化が進んだ。郵船は、紙の海図を置き換えるタッチパネル式の船舶運航支援装置「J―マリンネクスト」を搭載。陸上との情報共有にも活用していく。
政府は2025年までの「自動運航船」実用化を掲げるが、自動運航船に向けた技術開発は、一足飛びに無人航行を実現するものではない。自動運航船に必要とされる一つ一つの要素技術が、航行の安全性を高めるものであり、完成し次第、実際の船に展開されていく。新ブリッジは新技術の受け皿ともなる。
(文=小林広幸)
次世代ブリッジは人間工学に基づき、レイアウトや計器配置、デザインを最適化した。窓の大型化や、支障となる構造物がなくなったことなどで「従来に比べて見通しが良くなった」(ピーター・デリマ船長)と、使い勝手に太鼓判を押す。
これまで航海士はブリッジ内を歩き回りながらレーダーや海図などの情報を収集し、立って操船していた。新ブリッジでは、航海情報の確認や操舵(そうだ)を目の前の操作卓に集約し、着座した状態で適切な判断を迅速に下せる。
航海士は甲板手とともに4時間交代の3シフト制で、操船や見張りを担当する。海難事故の多くは人的ミスが原因で、背景には疲労や体調不良による集中力欠如がある。着座式の採用は負担軽減で航海士の“働き方改革”につながりそうだ。
新ブリッジは、これから自動運航技術を取り込んで、船が進化していく基盤にもなる。船舶は自動船舶識別装置(AIS)や電子海図(ECDIS)でデジタル化が進んだ。郵船は、紙の海図を置き換えるタッチパネル式の船舶運航支援装置「J―マリンネクスト」を搭載。陸上との情報共有にも活用していく。
政府は2025年までの「自動運航船」実用化を掲げるが、自動運航船に向けた技術開発は、一足飛びに無人航行を実現するものではない。自動運航船に必要とされる一つ一つの要素技術が、航行の安全性を高めるものであり、完成し次第、実際の船に展開されていく。新ブリッジは新技術の受け皿ともなる。
(文=小林広幸)
日刊工業新聞 2018年10月25日