4000人が登録、副業紹介企業に聞く個人も企業も『うまくいく副業』の条件

シューマツワーカー社長・松村幸弥氏

 副業・兼業の解禁が相次ぐ中、次に求められるのは労働力がうまく循環する社会だ。2016年設立のシューマツワーカー(東京都渋谷区)は、ITエンジニアを中心に副業したい人を企業へ紹介する事業を行う。『うまくいく副業』のために、個人と企業に求められることを松村幸弥社長に話を聞いた。

 -副業・兼業が注目されています。シューマツワーカーに登録して、副業したい人(副業社員)や副業社員を採用したい企業は増えていますか。
 「平日夜や土日などを使って、リモートワークで週に10-15時間ほど他の企業で働く副業を紹介している。この1年で契約が増え、現在、4000人以上の副業社員が登録し、約150社の企業と契約している。人が足りないベンチャー企業は副業社員の活用に積極的だ。大手企業も非IT系の業種ではITエンジニアの採用に苦労している。『副業をどう活用しようか』と考える企業が増えてきた」

 -シューマツワーカーの特徴は。
 「プロジェクト単位で仕事をして納品するのではなく、同じチームで働くことが特徴だ。プロジェクト単位の納品は細かな要件設定が必要だが、最近は仕様などを話し合いながら進めるアジャイル開発が多い。これに対応できる」

副業はコミュ力とプロ意識


 -そうした副業のスタイルには、どんな人が向いていますか。
 「進捗の連絡など、積極的にコミュニケーションを取れることが必要だ。主にチャットでのコミュニケーションになるので、返信は早く、はっきりした表現でやりとりする人は良い。プロ意識や責任感も求められる。副業先の企業を理解し、先回りして提案できる人は次も仕事が続いていく。自分で仕事を獲得できる」

 -雇う側の企業には何が求められますか。
 「まずリモートワークに向く仕事を選ぶこと。緊急度の高い仕事は社内の社員、中長期でやりたい仕事を副業社員に任せる企業はうまくいっている。また、企業にもコミュニケーション能力が必要で、テキストベースで明確に指示できる必要がある」

 -社内で働くことで慣れていると、1人で働くことは難しそうです。
 「モチベーションを維持するための取り組みもしている。例えば、会社のビジョンに共感できるかや、一緒に働く人を尊敬できるか、報酬、本業や家族の状況などの7項目を点数化し、追跡している。数値が下がってきたら、一緒に飲みに行って話を聞くなどして引き上げる。スキルアップ支援や企業側へのリポートなども行う」

優秀な人材シェアする社会に


 -実際に副業した人の反応はどうでしたか。
 「ある人は社内で『自分はできるエンジニア』と思っていたが、副業先ではそうではなかった。その人は『井の中の蛙』だったと知って努力した。副業は成長のきっかけにもなる」

 -副業ビジネスで起業したきっかけは。
 「自分自身に良質な副業が必要になったことがきっかけだった。ソーシャルゲームの開発会社で働いていた時に投資信託詐欺に遭い、副業・副収入を探したが、良い副業がなかった。周囲を見渡すと、家族の病気や介護、進学などさまざまな理由で副業をやりたい人が多かった。そこで、良い副業先を紹介しようと考えた」

 -将来の目標は。
 「人材リソースの選択肢になりたい。『二つ目や三つ目の仕事はシューマツワーカーで探す』となれれば、理想だ。日本の正社員はプロでなくてもできるが、副業社員は高いプロ意識が求められる。副業が当たり前になれば、自分で仕事を獲得できるプロが日本にあふれる。優秀な人材をシェアできる社会になるといい」

若いメンバーが働くシューマツワーカーのオフィス

日刊工業新聞 2018年10月25日掲載記事を加筆

梶原 洵子

梶原 洵子
10月25日
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働き方の選択肢が増えていくことが期待されます。

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