東急電鉄社長に聞いた、鉄道の混雑・遅延緩和策とまちづくり

高橋和夫社長インタビュー

 東京急行電鉄は9月、2019年9月に鉄道事業を分社化する方針を打ち出した。渋谷をはじめとする沿線開発と鉄道をコア事業としてきた同社が“100年先”を見据えて出した結論が分社化だ。渋谷の再開発にめどがつく一方、かつてのニュータウンは再構築が待ったなし。沿線人口の増加が当面続くという最新予測を受け、田園都市線では混雑・遅延の抜本対策にも本腰を入れなければならない。高橋和夫社長に沿線、鉄道の再生への考えを聞いた。

 ―鉄道を分社化します。東急は何をしていく会社になりますか。
 「東急は街を作り続ける会社。100年後も変わらない。時代に合った街を創造してきた。鉄道や流通事業がないと街は作れなかった。これからもベースは鉄道の沿線にある」

 ―郊外に宅地を開発してきた私鉄のビジネスモデルは転換点にあるのでしょうか。
 「働き方が変わって住・職・遊が、郊外で近接し、コンパクトに成立する傾向にあるのは確かだ。かつて開発した多摩田園都市は再生の時期に来ている。次世代のニーズに合った機能を備えていかなければならない。次の50年を見据えた新たな街を構想している」

 ―渋谷駅周辺の再開発は完成期にさしかかりつつあります。
 「五輪前までに(駅周辺計画の)8割方完成するが、渋谷を中心に20年以降も開発が新たな開発を呼んで続いていくだろう。渋谷の特徴はエンターテインメントであり、我々は舞台を提供する役割。来秋に完成する渋谷スクランブルスクエアはおおむねIT企業の入居が決まった。地元の方々とともに楽しい、リピートしてもらえる街にしていきたい」

 ―鉄道事業では田園都市線の混雑・遅延緩和が大きな課題です。
 「このままで良いとは考えていない。ある程度インパクトを出すには、渋谷駅を改良して(発着)本数を増やす抜本策を早めに打ちたい。(沿線人口のピークが)後ろ倒しになり、考えなければならなくなった。遅延の理由は、駅の停車時間が長引いているためだ。乗り降りをスムーズにしなければ(解消は)難しい。開発行為であり、地権者らとも合意を形成しなければならない。投資も巨額となる。工夫が必要だ」

 ―空港運営事業にも力を入れています。
 「我々に期待されているのは面的な2次交通の充実や観光による活性化だ。空港ビルの商業運営は誰でもやっている。空港の顧客はエアライン。運営事業者(の仕事)はエアラインと向き合い、どう人を乗っけてきてもらえるかにかかっている」
高橋和夫社長

(聞き手・小林広幸)

日刊工業新聞2018年10月17日

日刊工業新聞 記者

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10月18日
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東急沿線の人口は2035年にピークを迎える。将来人口の見直しは東急の将来構想に大きな影響を与え、田園都市線・渋谷駅改良の具体化に向かわせている。魅力ある沿線の基盤には安定、快適な輸送サービスがある。日本の都市鉄道を代表する田園都市線のリニューアルは、来秋に誕生する新たな鉄道会社の最大の課題だ。
(日刊工業新聞社・小林広幸)

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