トヨタグループの考えるコネクテッド技術と将来のモビリティー

【CEATEC JAPAN 2018連載#3】トヨタIT開発センター・今井孝志社長

 自動車とITの融合が進んでいる。トヨタ自動車子会社でITに関する研究を行うトヨタIT開発センターの今井孝志社長に、トヨタグループの考えるコネクテッド技術と将来のモビリティーについて聞いた。

 -6月に発売した高級セダン「クラウン」と小型車「カローラスポーツ」に車載通信機を標準搭載し、初代コネクテッドカーと位置付けました。車はどう変わっていきますか。
 「2年前から車両から収集したデータを利活用する『コネクテッド戦略』を進めてきた。データを使い、さまざまなことができるが、まず安全安心の強化をしっかりやる。そして米ラスベガスで1月に開催された『CES』で公表したように、トヨタは車の会社からモビリティーカンパニーへアップデートする」

 -ITなどの異業種から自動車産業への進出が増えています。
 「『CASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)』によって自動車産業が変わってきた。米ウーバー・テクノロジーズや米リフトが展開するスマートフォンを活用したライドシェアサービスは、コネクテッドカーに先行する動きだ。トヨタはコネクテッドカーから収集したデータと外の世界をつなげる情報基盤を準備する。この情報基盤を介して、IT企業などの異業種と一緒に新しい価値をつくる」

 -どんな企業と協力しますか。
 「米ウーバーとは、運転支援技術を搭載した車でライドシェアに取り組み、次のサービスに発展させる。CESでは多目的に使える電気自動車(EV)『e―パレットコンセプト』の事業モデル構築に向けて米アマゾン・ドット・コムや中国・滴滴出行などと協業を発表した。例えば、内装を変更して物販や宿泊施設、医療施設として利用できる。人が移動しなくても、サービスが必要な場所に来る」

 -トヨタIT開発センターの主要な研究テーマは。
 「10年先の世界観を実現するために必要な、将来のエッジコンピューティングやデータセンターなどを研究している。これを実現することにより、車両から、サイズの大きな画像データも効率よく集められる。中央のデータセンターに集める前に車か中継局で処理してデータを軽くする必要がある。賢く、持続可能な方法を模索する。2019年4月にトヨタと融合した後も当社の役割は変わらない。研究を一層加速させる」

 -自動運転に対し、コネクテッド技術はどう貢献しますか。
 「コネクテッドは、走る・曲がる・止まると同様に車の根幹の技術となる。自動運転ソフトウエアを開発するトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)と、将来のデータセンターを考える当社とは、共生関係にある。TRI-ADがどんなデータを必要としているかは、どうデータを抽出してデータセンターに集めるかを考える上で欠かせない。密接に連携していく」

 -情報通信やエレクトロニクス業界に期待することは。
 「半導体とネットワーク通信、データセンター、ソフトウエアの分野は、より重要になる。これまでトヨタとサプライヤーの関係は完全に縦のつながりで、半導体メーカーは2次サプライヤーの位置づけだった。今後は、横につながり、協業するパートナーになりたい。トヨタは今までと違う動きが出てくる」

 -ユーザーにどんな将来のモビリティーを体験してほしいですか。
 「自動車の保守点検やソフトウエアによる機能更新はどんどんやりやすくなり、次世代の車に生まれ変わる。また、従来の所有の観点だけでなく、利用の観点からも、もっと使いやすい車を実現し、移動の自由を提供する」

 -10-15年先の車はどうなっていくのでしょうか。
 「想像するのは難しいが、利用を含めた車の形態は確実に変わってくる。自動運転や利便性などが注目されがちだが、その前に、事故を減らすことはもっとできる。やらなければならない。さまざまな面で、IT業界の人たちと協業したい」

インタビュー連載「CEATEC JAPAN 2018」


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梶原 洵子

梶原 洵子
10月17日
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トヨタ自動車は先日ソフトバンクと提携したばかり。自動車を取り巻く状況が大きく変化しています。

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